失敗は成功の記憶で上書きされる
実は私たちが新しい技術を習得するとき、脳が失敗の記憶だけを消去することにより、成功した記憶だけが残って技術が上達していくことがわかっています。
練習中に何度も失敗を繰り返して最終的には上達するのはこのためです。
そして私たちは何かの技術を習得したあとでは、変に意識しないと失敗できなくなってしまいます。失敗する方法を完全に忘れてしまっているのです。
これは逆に言えば、失敗するという不安を消すためには成功するしかしないということでもあります。つまり、失敗の記憶は挑戦することでしか消せないのです。
不安が生まれる心理的な理由
不安に関する心理については以前にも話したことがありますが、不安というのは不安を感じている対象をよく知らないからこそ引き起こされてしまう負の感情です。
見慣れないもの、知らないことからは離れようというプログラミングが私たちの脳みそにはされているので、正体不明のもの、頭でも感覚でも理解できないものに出会ったときに反射的に不安を感じてしまうのです。
不安を放っておいても良い場合
もちろん、この不安な感情がプラスに働く場合もありますし、すべての不安や苦手要素を排除しようとするのはナンセンスです。
というのも、たとえば自転車に乗るのが怖いのなら自転車に乗らなければ良いとい手も打てるからです。自転車の代わりはいくらでもありますからね。
あなたにとっては不安なことだったり苦手なものがそこまで生活に重要なツールじゃない場合は、あなたの生活から完全に切り離してしまうというのもひとつの手です。高所恐怖症の人がみんな精神科に通って治療しないのと同じ理由です。
しかし、問題はあなたの生活と切り離せない場合です。
解決しなければいけない不安
たとえば部屋の掃除ですが、そこに住み続ける限り掃除をしないと汚れやほこりがたまっていって部屋は汚くなっていきます。
これと同じように不安な感情というのは放っておくとどんどん増えていきます。自転車のようなツールだったら、「もう使わない」と言って捨ててしまえば、錆びてしまおうが腐ってしまおうが関係ありません。
しかしたとえば会話という必要不可欠なコミュニケーション能力のように、生活していく上でなかなか切り離せないものの場合は、不安な感情が溜まっていくと心と体に悪影響が出てきます。
会話は自転車と違って捨てるというわけにはいかず、コミュニケーションしなければいけない機会は生きている限り必ずやってきてしまいますからね。
大きくなった不安を掃除する方法
そういうふうに切っても切り離せない不安の場合は、不安な感情を溜めてはいけないのです。何も手を打たないと、使い勝手がどんどん悪くなって具合も悪くなってきてしまいます。
しかしこの不安な感情は、小さな成功体験を経験すること、そして小さな成功体験を繰り返すことで綺麗になくすことができます。
心の中のお掃除という感じですね。だからいくら失敗してようが挑戦している限りは関係ないのです。小さくてもいいから成功体験をすることで心のお掃除ができるので、私たちは生活とは切り離せない苦手なものに関しては基本的にはそれを克服するために挑戦し続けるべきなのです。
あなたが今感じている不安を消したければ、小さな成功体験をしましょう。私たちが生きているこの人生においては、99回失敗してもその後で1回でも成功したら過去の失敗をチャラにできるようになっています。
というわけで、不安を感じている人は今回の話を参考に新しい挑戦に挑んでみてください。