拍手は世界共通の非言語
私たちはさまざまな場面で手を叩いて拍手をします。これは世界共通のボディランゲージのひとつです。
拍手で一番思い浮かべやすい場面は、誰かを称賛する場面でしょう。
アスリートやパフォーマーが驚くべきパフォーマンスを見せたときに私たちは拍手します。
また、映画に出演した俳優自身には聞こえないにもかかわらず、素晴らしい映画を見た終わりに拍手することもあります。
拍手にはさまざま意味がある
拍手はこうした称賛の気持ちを表す以外にも、賛同の意を示したり、熱意を表したり、注目を集めたり、あるいは何かを威嚇するときのために使われることがあります。
拍手はその種類によっては、リズムやテンポにも違いがあるものもあります。
今回は、少しマイナーな話題ですが、拍手の心理について解説していきます。
拍手が存在する理由
拍手や手拍子の心理はどうなっているのでしょうか。
なぜ私たちは拍手するのか、その理由をよりよく理解するためには、私たちの進化のルーツにさかのぼる必要があります。
拍手をすると大きな音が出せるので、相手の注意を引くため、あるいはゴリラが胸を叩くのと同じように相手を威嚇するための手段として始まったと考えられています。
また、音だけでなく、手を叩くその仕草で何かを表現することもできます。拍手をしている人としていない人の見た目の差は歴然としています。
つまり、拍手は聴覚的にも視覚的にも人を惹きつける効果を持ったシグナルなのです。
拍手の歴史
拍手には、驚くほど素晴らしいものを見たときに思わず手を叩くような、不随意的なものもあります。
しかし、多くの拍手は自発的かつ意図的に行われます。例えば、他人の業績やパフォーマンスに拍手を送る場合がこれにあたります。
興味深いことに、観客がパフォーマンスに対して拍手をするようになったのは、少なくとも古代ギリシャ時代までさかのぼります。
つまり、パフォーマンスに対する正式な拍手は、何千年も前から存在していたのです
ここからは、称賛以外にも使われる、拍手の6つの種類と機能を紹介します。
驚きの拍手
私たちが驚いたときに起こる拍手です。
これにはたった1回で終わる拍手も、テンポの異なる数回の拍手もあります。
賞賛の拍手
何かを達成した後や歓迎の意を込めて行われます。
私たちは個人的に他人の功績に拍手を送ることもありますが、この拍手が最も頻繁に見られるのはパフォーマンスを見ている観客がするときです。
また、著名人や芸能人が登場したときや、公演が終わったときに拍手をすることがあります。
チームがフィールドに入るときに拍手するのも、「あなたを応援しています」という認知的な拍手の一種であり、チームが得点したり重要なプレーをしたりすると、試合中であっても拍手はずっと行われます。
モチベーションを高める拍手
他の人の努力を励まそうとするときに行われる拍手です。コーチが選手を鼓舞するときによく見かけますね。
「ほら、しっかりしろ!」というようなセリフと一緒に手を叩きます。学校の先生もやりますね。
楽しむための拍手
これは音楽を聴きながら、曲に合わせて手拍子をするような、リズミカルな拍手のことを指します。
歌いながら拍手することもあります。例えば、「ハッピーバースデー」を歌うときは誰もが自然と手拍子をします。
皮肉な拍手
特に出来の悪い演奏やパフォーマンスに対して行われる拍手で、不快感を表しています。
このときの拍手のテンポは、一般的な拍手よりもずっと遅く、リズムも悪いという特徴があります。
だらけた感じでする拍手をイメージしてみればわかりやすいです。
マスクの着用が当たり前になってから、実は私たちのあいだでアイコンタクトが重要なコミュニケーション手段になっています。言わずもがな、これは相手の顔の下半分が見えないために、顔の上半分を見て意思疎通を図っているからです。次から誰かと話すときは意識して相手の目を見てあげてください。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年12月3日
儀礼的な拍手
最後に、演説者やパフォーマー、そして彼らの発言に敬意を表して行われる、儀礼的で台本に沿った拍手があります。
例えば、アメリカ大統領の演説中に、話が一区切りついたときやこれまで挙げてきた功績を発表するときなどに行われる拍手が良い例です。
この例で興味深いのは、通常は、大統領の所属する政党の議員だけが拍手をし、他の政党の議員は、両党の意見が一致する発言でない限り拍手をせずに手を膝の上に置いたままにしているところです。
今回は拍手の心理について解説しました。拍手は世界に共通するものですが、人々がいつ、なぜ拍手をするのかについては、文化ごとに微妙な違いもあります。