性格の悪い人がいなくならない理由
ダークトライアドと呼ばれる他者に嫌悪感や苦痛を与えるパーソナリティ特性を持つ人は、実際に様々な反社会的な行動を取ることがわかっています。
しかし、人に嫌われるような行動をあからさまにとってしまうと、周囲から非難を浴びたり排除されたりして社会的な立場が危うくなってしまいます。
そこで彼らは戦略的に対人行動を行うことで、このような社会から排除されてしまうリスクをうまく回避しています。
性格のヤバい人というのは、何も考えずに人に嫌われることをしているのではなく、それがまわりの人に露見しないようにうまくコミュニケーションもしているのです。
サイコパスは弱さすらも利用する
2017年に行われた早稲田大学の研究では、ダークトライアドが高い人たちがどのような戦略を用いて、嫌われるリスクを回避しながら他者を心理操作しているのかが調べられました。
すると、ダークトライアドのなかでも、マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシー、それぞれの特性の違いによって彼らのとる戦略が少し異なることがわかりました。
この調査では、男性65名、女性132名、合計197名の若者を対象に行われたのですが、ナルシシズムが高い人は自己優越的・高圧的に他者を操作するのに対し、マキャベリズムとサイコパシーが高い人ではそれに加えて自己卑下的にふるまうことでも他者を操作していました。
つまり、マキャベリズムとサイコパシーが高い人は、被害者になったように弱いふりをしたり、自虐的にふるまうことでも心理操作をしているのです。
頻繫に使われる自己卑下的戦略
性格の悪い人というと、高圧的な態度で命令したり、相手の自尊心を下げるようなことをして操作するイメージがありますが、それだけではなく実際には自分が弱い立場であることもうまく利用しているのです。
しかも興味深いことに、彼らはこのような自己卑下的戦略を、相手を威圧する自己優越的戦略と同じくらい頻繁に使っていました。
私たちが思っている以上に、マキャベリズムとサイコパシーが高い人は弱さを利用して他人を操っているのです。悲劇のヒロインやヒーローを演じるというやつですね。
ダークトライアド(性格がヤバい人)は、メイクやファッションや整形など、見た目に力を入れがちという特徴があります。これが、ルックスが良い人ほど性格が悪い!と言われる理由の一つです。彼らは性格の良さでは他者を魅了することができないので、別の方法でアプローチしているのですね。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年1月4日
ダークトライアドがとる戦略の違い
一方でナルシストの場合は、その性格から、自分が弱い立場であることを他者にアピールしにくいので、自己卑下的戦略は取りづらい傾向にあります。
また、この調査では、ナルシストはマキャベリストやサイコパスと比べて、感情的にも行動的にも他者をあまり操作しない傾向もありました。
たしかに一般的なイメージでも、ナルシストよりはサイコパスとマキャベリストのほうがヤバそうですものね。
というわけで、立場の弱さを利用する人にも十分に気を付けていきましょう。
参考論文
Dark Triad と戦略的な対人行動――他者操作方略と対人葛藤方略に着目して――
https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2017/03/2017_3_psychology_smt.pdf