内向性を4つに分類した STAR モデル
今回は、4つの内向性モデルの解説の続きです。
前回と同様にウェルズリー大学心理学部のジェニファー・O・グライムス、ジョナサン・M・チーク、ジュリー・K・ノレム博士らの研究をもとに、今回は不安型内向性(Anxious Introvert)、自制型内向性(Restrained Introvert)の2つの内向性が持つ特徴について話していきます。
前回の解説をまだ読んでいない人は、まずはそちらから先に読んでみてください。
不安型内向性
不安型内向性が高い人は、最初に解説した社交型内向性が高い人とは逆に、他人といるのが苦痛なせいで孤独を選ぶタイプです。
シャイな性格のために大人数のなかにいると気分が落ち着かず自意識過剰になりがちで、慣れない状況下では特に自意識が暴発してすぐに緊張していまいます。
「今の行動、もしかして自分は嫌われているのでは?」というふうに心配してしまうタイプですね。
また、このタイプには自分の社交スキルに自信がない人も多いです。どう会話したらいいのかわからない、という感じで、まさに人が苦手な人見知りです。
人付き合いに不安や心配が多いタイプ
不安型内向性が高い人は社会不安を感じやすいため、自分の欠点や過去の失敗を考え続ける「反すう思考」を行うことが多く、メンタルヘルスが悪化しやすい傾向があります。
反すう思考はうつ病の原因にもなるので、これが特にメンタルに悪いのですね。
なので、彼らは一人きりでいるときでも不安や悩みに襲われてしまって悪いほうに考え込んでしまいます。
彼らも社交型内向性が高い人と同じく、再充電するために孤独な時間を必要とするのですが、反すう思考のせいで、せっかく一人の時間をつくれても疲れや不安感が消しきれない傾向があります。
ただし、こうした不安感は年齢を重ねるとともに少しずつ軽減されていきます。
自制型内向性
最後に、自制型内向性が高い人は、行動を起こすまでに時間を必要とするタイプです。下調べなどをしっかりとして石橋を叩いて渡る人ですね。
彼らは何らかの決断を下す直前までじっくりと考え、きちんとした計画を立ててから行動を始めます。
さらに、計画が始動して実際に行動し始めてからもゆっくりと物事を進めていきます。
このため直前や思いつきの誘われることが嫌いで、まわりからはノリが悪い人だと思われがちです。
しっかりと考えてから行動するタイプ
自制型内向性が高い人は、思いついたことをすぐ言葉にせず、自分のなかで考えをしっかりとまとめてから話すので、まわりから「内気で会話が苦手なのだ」とも思われやすくなります。
このタイプの人は、何をするにしても行動を起こすまでにワンテンポ遅れるので、たとえば、「朝起きてからすぐにはベッドから出られない人も多い」と言われています。
こうして見ると、開放性が高い人とは逆のタイプですね。
内向性はグラデーション
このように、内向性や内向的な性格にもいろいろとあり、またそれぞれの特性の組み合わせや傾向の強さも人によってさまざまです。
たとえるのなら、さまざまな段階や特徴や症状の強さによって分かれる自閉症スペクトラムと同じようなものですね。
日本語だとグラデーションという言葉がわかりやすいかもしれません。内向性もグラデーションでさまざまな違いがあり、それによって行動や性格も変わるのです。
内向的な人は感覚刺激に弱いので食べ物の刺激にも弱い。味の濃い物や辛味や酸味が苦手な人は内向的な傾向があります。刺激に気を付けてください。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生@進化学と恋愛心理 (@kruchoro) 2020年9月16日
外向的・内向的な人が感じる幸せ
一般的には、内向的であるよりも外向的であるほうが良いと言われていますが、これは熱意や情熱、活発さや社交性の高さなどが幸福の尺度とされていることが大きな原因です。
また、そうした傾向を外に対して示していないからといって、内向的な人が幸福感を感じていないわけではありませんし、内向的な人が劣っているわけでもありません。
内向的な人にとっては、週末にパーティに出かけるよりも、家でひとりきりで好きな本を読んでいるほうが幸せを感じやすい、というだけの話です。
参考論文
Grimes, Jennifer & Cheek, Jonathan & Norem, Julie. (2011). Four Meanings of Introversion: Social, Thinking, Anxious, and Inhibited Introversion.