メンタルアラート機能を活用する
今回はメンタルバンク解説の続きです。初めての人は最初の解説から読んでみてください。
現在所有している健康資産をうまく働かせるためには、あなた自身が自分のメンタルバンクを意識して管理する必要があります。
つまり、メンタルヘルスにダメージを与えるような自らの疑わしい行動を監視し、感情的な支出や借金を増やしてしまうような悪い兆候が生活の中で起きていないかを日ごろからチェックしておくのです。
悪い兆候とは、例えば、「自分にとって有害な人と一緒に過ごしていないか?」「夜遅くまで起きていて、十分な睡眠がとれていないのではないか?」「不健康な食生活が続いていないか?」といったことです。
こうしたメンタルデット(心の負債)に注意を払っておかないと、すぐに借金がたまってメンタルバンクの預金額を上回って破産(心が疲れ果てたり感情が爆発したり)してしまいます。
しかし、うまく使えば、悪い兆候はメンタルバンクが破産しないためのアラートの機能を果たしてくれますので、悪い兆候が出てき始めたら手を打ちましょう。
小さな良いことをする
メンタルバンクの破産を防ぐためには、ポジティブな習慣を積み重ねるルーティンをつくることも大切です。
これによりメンタルアセットを増やし、負債があってもきちんと返済できる状況をつくることができ、あなたのメンタルバンクが簡単に破産するようなことはなくなります。
ポジティブな習慣を積み重ねるルーティンとは、例えば、「ランニングやスポーツなどの新しい趣味を持つ、」「関心のあることの読書や勉強の時間を確保する」「野菜をたくさん食べる」といったことです。
日本語には「一日一善」という言葉がありますが、まさにこれがメンタルヘルスにとって良い習慣をつくるための最善のアドバイスと言えます。
楽しい出来事に集中する時間をつくる
また、自分や親しい人たちにとって喜ばしい出来事や楽しい出来事があったときには、その気持ちを心から感じ、その瞬間に完全に参加しましょう。
つまり、「今、ここ」に意識を集中することです。マインドフルネスやセイヴァーリングを心がけるのですね。
ポジティブな瞬間に浸っているとき、「この良いことがいつ終わってしまうのか?」「もしくは自分はそれを楽しむのに値する人間なのか?」などと心配して喜びを半減させる必要はありません。
「今、この瞬間、私たちは満足している、安心している、幸せである」ということをポジティブな経験を通して十分に認識するのです。
コツがつかめない場合は、マインドフルネスやセイヴァーリングと同様に、認知行動療法の記事も実践するのに役立ちますので参照してみてください。
ポジティブな経験を振り返る
メンタルアセットを増やすためのもうひとつの方法では、ポジティブ・メンタル・タイム・トラベルという心理テクニックを使います。
これは、数分間立ち止まって何もせず、自分が体験したあらゆるポジティブなことを吸収する作業です。
ポジティブなものなら何でもいいので、心の中で考えたことや感じたことなど自分の経験をもとに思い出してみましょう。
例えば、好きな人のことを考えるのも良いでしょう。前回のデートで二人で笑ったことや相手にしてもらって嬉しかったことを思い出してその気持ちに浸ってみます。
あるいは、自分が仕事で成功したこと、友人たちと楽しい青春時代を過ごしたこと、美味しい料理を食べたこと、など昔の思い出から最近の出来事まであなたの心を満たしてくれるものについて考えてみましょう。
悲しい出来事が起きたとき
さらに言うと、このポジティブ・メンタル・タイム・トラベルのように、ポジティブな出来事を覚えておくことは、つらい出来事を経験し、あなたが孤独感やストレスを感じたときにも有効です。
例えば、あなたはいま大切な友人や家族や恋人との別れを経験していて、「自分はひとりぼっちになってしまった 」と感じているとします。
そういうときに、彼らとの素敵な思い出について思い返してしまうと、失ったものの価値を思い知らされて余計に気分が落ち込んで寂しくなってしまうかもしれません。
もちろん、悲しみや寂しさを感じることは悪いことではありません。時には思いきりそういう気持ちに浸るのもいいでしょう。
しかし、度を越してしまったとき、あなた自身が「立ち直りたい」と思ったとき、そのような感情は障害になるでしょう。
ポジティブもネガティブもどちらもうまくいきていくために必要な感情です。ゲームで例えると、ポジティブな気持ちは攻撃力を高めてくれて、ネガティブな気持ちは防御力を高めてくれるという感じで、それぞれ役割が違うのです。攻撃力と防御力、今どちらが劣っているのかを見極めて上げていきましょう!
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生@進化学と恋愛心理 (@kruchoro) 2021年2月5日
ネガティブな経験からポジティブな要素を取り出す
そこで、悲しむ一方で、「別れを経験するのはつらいことだけど、幸いなことに、私の周りには私を愛してくれる人たちがまだいる 」というふうに別の視点でも考えてみましょう。
失ったものではなくまだ持っているものについて考えることは、あなたのメンタルヘルスにとっては、「すべてがダメになってしまったか、それとも新しい幸せを手に入れられたか?」くらいに意味が大きく違います。
つまり、金融資産とは異なりメンタルバンクの資産は、あなたの考え方ひとつで数字が増えたり減ったりするものなのです。
もちろん、自分の銀行の預金残高を増やしたくない人はいませんよね?というわけで、悲しい出来事があったときには、ぜひこの方法を試してみてください。