好かれる口調、嫌われる口調
話し方には、人に好かれる口調・嫌われる口調というものが存在します。
私たちは普段、相手がどのような服装を着ているかで相手のステータスを確認すると同時に、相手がどのような話し方をしているかも見て、相手の能力や性格を見定めています。
面白いことに、上流階級の人間とそうでない人たちとでは、使う言葉も文体や文法すらも変わってくるのです。
そうやって私たちは無意識に、誰が自分たちの仲間なのか、信頼がおける人物は誰なのかを確認しているのです。
話し方で性格は判断される
そういった性質を人間が持っている以上は、言葉遣いや口調の違いで人間性を判断するということは日常茶飯事で起こります。
相手の話す内容というのは、その内容が正しいか正しくないかや面白いか面白くないかに関わらず、そもそもの相手の話し方によって受け止められ方が変わってくるのです。
例えば、どれだけ相手が正しいことを主張していても、それが乱暴な口調だったり、相手の主張のなかにこちらを見下していたり罵倒するような言葉が入ってきたら、誰だって穏やかな気持ちのままではいられませんよね。
その時点で話し合いはうまくいかなくなり、あとはお互いに自分のプライドを取るか、もっと有意義に使うための時間を取るか、という選択になります。
人に好かれる話し方とは?
アメリカ、メリーランド大学のアリッサ ジョーンズ博士は、「〜だ」という断定口調よりも「〜だと思うのですが、どうですか?」と、相手に最終的な判断をゆだねる話し方のほうが聞き手の好感度が増すと述べています。
判断をゆだねる話し方をするほうが好感度が上がる理由は、私たちは興味のある事柄に関しては、特に自分自身で答えを出したい生き物だからです。
なので、そのとき他者からのアドバイスを必要としていたとしても、断定口調で勝手に決められると不快な気分になってしまうのです。
あるいは、不快感とまでいかなくても、ちょっとした違和感のようなものを覚えます。
もちろん、他人からの指示に従う方が楽であるという場合も多々あります。しかし、基本的に、自分が選べる立場であったり選べる権利を持っているときには、私たちは自分で物事を決めたいという欲求が現れます。
これは自尊心を健全に保つことにもつながる自己防衛的な心理現象です。
人にアドバイスをするときの注意点
相手に何かの決定を促したりアドバイスをする際に気をつけるべきポイントは、こちらの主張を疑問形の文章で終わらせて伝えることです。
そうすることで相手に選択の余地ができ、人からのアドバイスを受け入れるのも断るのも自分次第という心理的な状況が生まれます。
たったこれだけの言葉の工夫で、お互いの対人関係が良好になるのです。話し方、会話術というのは職場やプライベートに関わらずあらゆる人間関係を健全な形で保つために役に立ちます。
さらに、その場の収まり具合も良くなるだけではなく、この心理術はその後の相手の満足度を決める上でも重要な役割を果たすことがわかってます。
人は自分で決めるのが好き
先ほども言った通り、私たちは本来物事を自分で決定することが好きで、他人に指図されることを嫌がるという性質を持っています。
この性質が自己判断の決定後も続き、他人の主張に従ったときよりも、自分で考えて選択肢を選んだ方が、その決定に対する満足度が増すのです。
つまり、物事の決断は、他人に任せるよりも、自分でした方が自分の行動に満足できるようになるので人生をより楽しめることにつながるのですね。
自己選択の大切は、ほかの心理研究でも示されています。ですから疑問形で終わらせる提案型の主張は、人間関係を長い目で見ても良好な状態にしてくれるとっておきの交渉術となるのです。
また、提案をするタイミングや場面も心理的には重要です。意外にもそういう些細なことで相手の機嫌が大きく変わってしまうのです。
最後の言葉を少し変えるだけでいい
私たちは相手からアドバイスを求められると、つい上から目線で「こうした方がいい」と断定的なものの言い方をしてしまいがちですが、ここで一度気持ちを冷静に保って、相手の立場になって考えて言葉を選ぶようにするだけで、他の人とは違う印象を人々に持たせることもできます。
特に仲が良い相手ほど断定口調になってしまうことがありますので、親しい人いこそ提案型のアドバイスを心がけていきたいところです。
今回紹介した心理テクニックは、言葉尻を少し変えるだけですので、日常会話でもぜひ試してみてはどうでしょうか?
それだけで友人関係や恋愛関係が良いものになったら、これほど良い交渉術はありませんからね。
「断定口調」から「相手に判断を委ねる口調」に変えるだけで好感度が上がる
人は自己決定したい生き物なので、自身で決めてもらった方が相手の満足度も上がる
最後の言葉を疑問形で締めくくるだけで人間関係が変わる