【認知行動療法】本当の気持ちを伝える、アサーション・トレーニングのやり方

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アサーティブになるための3ステップ

 

前回はアサーションについて解説しましたが、今回は実際に「アサーティブな主張をするためのアサーション・トレーニングの方法」について解説していきます。

 

アサーティブになるためには次の3つのステップを経験して自己表現の方法を変えていきます。

 

①自分の言い分だけを優先する、攻撃的自己表現を考える

 

まず最初に「攻撃的な言い方とはどんな言い方か?」を考えます。相手の気持ちは考えず、自分のことだけを思った言い方を考えましょう。

 

②相手の都合だけを優先する、非主張的自己表現を考える

 

次に、「非主張的な言い方とはどんな言い方か?」を考えます。自分の気持ちは考えず、相手のことだけを思いやった言い方を考えましょう。

 

③バランスの良い言い方、アサーティブな自己表現を考える

 

最後に、①と②を組み合わせて、バランスの良い言い方を考えます。例を見ていきましょう。

 

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アサーション・トレーニングの方法

 

例えば、あなたは友人にいつも無理なことばかり頼まれているとします。しかも、頼みごとをするのはいつも直前なのです。

 

この問題を解決するために、まずは攻撃的な言い方を考えます。

 

攻撃的な言い方の例

 

  • 急に言われたってできるわけないじゃない!
  • あなたは何て非常識な人なの!
  • いつもいつも、一体何なの!
  • 私はあなたのお手伝いさんじゃない!

 

上記のように相手に言えば、あなたは頼みごとはされなくなるかもしれません。

 

しかし、このような攻撃的な言い方をすると、相手のことを心配したり自分の行いを後悔することになり、あなたは余計に悩んでしまいます。

 

  • 「あの人のことを怒らせてしまったかな。友人のままでいられるかな(心配)」
  • 「つい言いすぎちゃった。あの人のことを傷つけちゃったかな。(後悔)」

 

攻撃的な言い方をした結果、当然ですが、二人の関係もギスギスしたものになってしまいます。

 

では次に、非主張的な言い方を考えてみましょう。

 

非主張的な言い方

 

  • いいよ
  • やってみます
  • わかりました

 

上記のように、頼みごとをしぶしぶ引き受けてしまえば、相手に嫌われたり喧嘩することはないでしょう。

 

しかし、このように非主張的な言い方をすると、みじめな思いをしてストレスが溜まったり、相手への怒りやうらみが募っていきます。

 

  • 「自分だけがまんするしかないなんて(みじめ)」
  • 「人の都合も知らないでひどい!あの人のせいで、大事な用事に行けなくなっちゃった!(うらみ)」

 

非主張的な言い方をした結果、不快な気持ちを別の人にグチってしまったり、関係のない人に八つ当たりしてしまうことにもなりかねません。

 

というわけで、次のように、「攻撃的」と「非主張的」のバランスをとったアサーティブな言い方をしていきます。

 

アサーティブな言い方

 

「困ったな~、今日は別に用事があって無理なの、ごめんね。これからは事前に言ってくれると助かるな。」

 

もちろん、上記のように長いセリフを言うことが難しい場合には、まずは「今日は別に用事があって無理なの、ごめんね。」と伝えることから始めましょう。

 

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自分の気持ちを上手に伝えるポイント

 

基本的な態度、会話をするときの姿勢として、自分の気持ちも相手の気持ちも大事にすることを覚えておきましょう。ていねいで、友好的に、率直に伝えることを意識します。

 

そして、自分の率直な気持ちを伝えるときには、4つのポイントを会話の中で伝えていきましょう。

 

① 客観的状況

② 自分が感じたこと

③ 提案

④ フォロー(代替案の提示)

 

先の例で言うと、次のようになります。

 

「困ったな~(自分が感じたこと)、今日は別に用事があって(客観的状況)無理なの(提案)、ごめんね(丁寧な対応)。これからは事前に言ってくれると助かるな(フォロー)。」

 

「客観的状況→提案→丁寧な対応」が断るときの基本になるかと思いますが、最後に「今度は一週間前くらいに教えて」というようなフォローを入れておくと、同じような問題が起こりにくくなるのでおすすめです。

 

自分の気持ちを素直に伝えられないときは?

 

もしも自分の気持ちを素直に伝える勇気がない時は、シンプルな方法ですが、事前にセリフや相手に伝えることを考えておき、話す練習をすると良いです。

 

また、以前に解説した認知再構成法を使って、あなたのアサーションを妨げる考え(自動思考)に反論し、立ち向かうことも有効です。

 

アサーションを妨げる考えには論理的に反論する

 

①「相手の希望をかなえないと関係が終わってしまうだろう(自動思考)」→「関係が悪化しないように、お互いの気持ちに配慮する工夫ができる。(反論)」

 

②「好きな人や親しい人とは意見の相違があってはいけない(自動思考)」→「親しいからといって意見が同じとは限らない。異なる意見を認め合えるのが大人の関係だ。(反論)」

 

③「自分が話さなくても相手は自分の気持ちをわかってくれるはず(自動思考)」→「心の中は他人には見えない。気持ちは言葉にしないと伝わらないことが多い。 相手の気持ちを察するのは大事だが、自分の気持ちを察してもらえなかったことを相手のせいにはできない。(反論)」

 

というふうに、アサーションを妨げる自動思考には論理的に反論するトレーニングをしていってください。

 

以上が、東京大学医学部の資料をもとにした認知行動療法の解説となります。

 

これまでの解説を復習しながら、ぜひ認知行動療法を身に着け、日常生活で活用していってください。

 

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参考論文、資料

 

第7回 自分の気持ちを伝えよう(アサーション・トレーニング)

http://npsy.umin.jp/~npsy/cgi-bin/wordpress/wp-content/themes/tokyo_univ/pdf/nyumon7.pdf

Eslami AA, Rabiei L, Afzali SM, Hamidizadeh S, Masoudi R. The Effectiveness of Assertiveness Training on the Levels of Stress, Anxiety, and Depression of High School Students. Iran Red Crescent Med J. 2016 Jan 2;18(1):e21096. doi: 10.5812/ircmj.21096. PMID: 26889390; PMCID: PMC4752719.

https://doi.org/10.5812/ircmj.21096

Aschen SR. Assertion training therapy in psychiatric milieus. Arch Psychiatr Nurs. 1997 Feb;11(1):46-51. doi: 10.1016/s0883-9417(97)80049-0. PMID: 9046643.

https://doi.org/10.1016/s0883-9417(97)80049-0

Ferrell WL, Galassi JP. Assertion training and human relations training in the treatment of chronic alcoholics. Int J Addict. 1981 Jul;16(5):959-68. doi: 10.3109/10826088109038905. PMID: 7327778.

https://doi.org/10.3109/10826088109038905

Stake JE, Deville CJ, Pennell CL. The effects of assertive training on the performance self-esteem of adolescent girls. J Youth Adolesc. 1983 Oct;12(5):435-42. doi: 10.1007/BF02088725. PMID: 24306362.

https://doi.org/10.1007/bf02088725

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