食物繊維で痩せる理由
繊維質の多い食品を多く食べることは、長寿につながります。ただし、何でもよいというわけではなく、未加工の食品であることが条件です。
食物繊維は、私たちの体が糖分に分解することができない難消化性の炭水化物です。
食物繊維サプリメントで有名なものには、水溶性食物繊維のイヌリンや難消化性デキストリンがあります。
食物繊維は、血糖値をコントロールし、満腹感を長く保つのに役立ちます。このためダイエットにも向いています。
2週間で約1キロの減量と血糖値の改善に成功!
2020年のニュージーランドのオタゴ大学、リンカーン大学、スウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究によれば、1日に35gの食物繊維を摂取することで、早期死亡のリスクをなんと3分の1以上も減らすことができるとわかっています。
この研究では、加工の程度が異なる小麦、オーツ麦、玄米の栄養素が一致した全粒穀物製品を2型糖尿病にかかっている成人31人の被験者たちに2週間のあいだ食べてもらいました。
すると、食物繊維を多く摂取した被験者たちでは血糖値が改善され、体重も0.81 kg減少しました。ただ食べるものを変えただけで、2週間で1kg痩せることができたのですね。すごい。
しかし、細かく粉砕され加工された食品ではこうした有益な効果は得られませんでした。加工食品にはあまり健康効果がないというのはよく聞きますね。
意外にも、野菜を食べることはうつ病対策になります。ストレスがたまり、脳神経に炎症が起こるとうつになりやすくなるのですが、この炎症を野菜の栄養素が回復してくれるのです。精神的に追いつめられると得てして食生活も乱れるので、2週間に一回くらいは自分の食生活の内容を振り返ってみてください
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年2月15日
35gの食物繊維で死亡率も大幅低下
またオタゴ大学の研究では、1日に35gの食物繊維を摂取すると、1日に19gしか食物繊維を摂取していない人と比べて、早死にする可能性が35%も低くなることがわかっています。
研究では全粒穀物製品が使われましたが、食物繊維を多く含む食品にはほかにも果物や野菜、豆類、ナッツ類などがありますので、これらの食品の中から未加工または加工度の低い食品を選ぶのも良いでしょう。
また、難消化性デキストリンなどのサプリメントから摂取するのもありです。こちらは水に簡単に溶けて味もしないので個人的におすすめです。
食物繊維の注意点
ただし、食物繊維を多く含む食品は消化が遅くなる分だけ、消化不良を引き起こしやすく、腹痛や下痢の原因にもなりやすいというデメリットもあります。
なので、特に胃腸が弱い人が飲む場合やお子さんに与える場合には、様子を見ながら食物繊維の摂取量を調整していってください。
参考論文
Åberg S, Mann J, Neumann S, Ross AB, Reynolds AN. Whole-Grain Processing and Glycemic Control in Type 2 Diabetes: A Randomized Crossover Trial. Diabetes Care. 2020 Aug;43(8):1717-1723. doi: 10.2337/dc20-0263. Epub 2020 May 18. PMID: 32424022; PMCID: PMC7372063.