睡眠不足は能力の低下を招く
人生の質は睡眠の質で決まります。
睡眠を軽んじる人は、仕事に対しても熱心に打ち込むことはできません。睡眠は仕事を効率良くこなすための準備の一部なので、睡眠時間を削った分を仕事の作業時間にあてるということは逆に仕事の質を下げる結果となります。
睡眠時間を考慮せずに仕事をするということは、予算の組み立てをしないで新しいプロジェクトを立ち上げることと等しいのです。そんなことをすれば、プロジェクトは失敗に終わり、お金を無駄に失う結果となります。
睡眠時間と睡眠の質の重要性は、すでに数々の心理学研究から指摘されています。睡眠不足に陥れば、脳みそが十分に機能せずあらゆる能力が著しく下がってしまうことがわかっています。
つまり、仕事を効率的にこなし、望んだ成果を得られるようにするためには睡眠時間を十分に確保するところから始めないといけないのです。
寝不足はすべての能力を低下させる
また、実際に、睡眠時間の不足がそのまま私たちの年収の数字に表れているという研究報告もあります。
睡眠時間が多い人たちは年収も多く、睡眠時間の少ない人はそれだけ年収が少なくなっているのです。
オランダ、アムステルダム大学で教育心理学を研究しているアニー メイジャー博士は、良質な睡眠を取る人ほど熱心に仕事をする傾向があるということを発見しました。
また、寝不足になると人は太ってしまったり、脳のパフォーマンスも下がってしまったり、メンタルが弱くなってしまったりと、まったく良いことがないのですが、さらに新しく判明したことによると、寝不足によって収入も減ってしまうということがわかりました。
あなたの収入は睡眠時間で決まる
これはウィリアムズ大学の研究で、経済学の手法を使って「睡眠時間と賃金」の関係を調べたものです。具体的には、アメリカの東側(アラバマ州)と西側(テキサス州)に住む人たちのデータを調べて比較してみたのですね。
アメリカでは同じ国内であっても時差があり、西側と東側では時間が違います。本土であっても最大で3時間違いますから、日本とはだいぶ事情が違いますね。
研究でアメリカの東側と西側の人たちに分けて調べた理由は、この国内の時差を利用するためです。アラバマとテキサスでは1時間の時差があるために、アラバマの方が日没の時間が早いのです。
そして、どうして時差の違う人たちを研究の対象者に選んだのかというと、時差が変わると睡眠時間が違うからです。実はこれまでの研究により、日没の時間が早くなればなるほど、人間は睡眠時間が長くなるということことがわかっています。
ですから時差の違うアラバマとテキサスの賃金を比べてみれば、睡眠時間と年収の関係がわかるということです。
寝不足は年に17万円の損をしているのと同じ!
こうして両者のデータを分析してみたところ、日没が早い地域に住む人は、実際に睡眠時間が長い傾向がありました。
日没が早い地域に住む人々は平均すると、週に20分睡眠時間が長くなるという違いがありました。暗くなるのが早い分、早く長く眠りにつくのですね。
そして、週の睡眠時間が1時間長くなると、長期的におよそ5%ほど賃金が上がるという事実もわかったのです。
この睡眠によって年収がアップする経済効果は、1年ほど正規の学校教育を受けた場合に得られる年収アップ効果の半分くらいほどの影響力と考えられています。
この5%の収入アップ効果を金額に換算すると、年に約17万円くらいです。年に17万円って意外と大きな差がありますよね。
週間で1時間ほどの睡眠時間を確保するだけで17万円ゲットできるなら至に尽せりと言うやつですね。睡眠時間もお金も両方手に入るのですから。
睡眠を最優先にすることで収入をアップできる
このデータは、労働市場において、睡眠(睡眠時間)が強力な影響力を持っているという事実を示しています。
研究者は、「経営者は、労働者の能力を最大化するための方法として睡眠を考慮に入れるべき」だとまとめています。
今回では睡眠の質を問わず、時間のみに焦点を絞りましたが、睡眠の質が高ければそれだけ収入が上がる可能性も高いです。睡眠時間を確保していても質が悪いとダメになるという研究もありますからね。
能力が高い人は睡眠をコントロールできる
もちろん、この研究では逆の見方もできます。つまり、「睡眠時間をちゃんと管理できる人は、もともと能力が高く、それゆえに仕事もできるから賃金も高くなっている!」という可能性です。
しかし、例えそれが事実であったとしても、睡眠時間を自分でコントロールできるようになれば自己コントロール能力や認知力がアップして仕事ができるようになります。
また、睡眠の質や量が脳みそのパフォーマンスを左右するということは、複数の研究で言われているとおり間違いのない事実なので、睡眠の時間を自分で管理してぐっすり眠れるように努力をするに越したことはありません。
ですから「睡眠時間を削って浮いた時間を作業にあてるべきか?」と悩んだときなどには、「睡眠時間を少なくすると収入も少なくなる!」という事実を知っておけば、睡眠の影響力を軽視して仕事や生活に支障が出ることもなくなります。
数々の研究結果からわかるように、睡眠時間を削るという行為は、科学的には愚行なので基本的には選択肢から除外する方向で計画を練っていきましょう。
良質な睡眠を取る人ほど熱心に仕事をする
睡眠時間が長い人ほど年収が高い
睡眠時間が週に1時間増えると、5%の賃金アップ効果がある
睡眠不足は年に17万円の損をしているのと同じ