【認知行動療法】自己コントロールに役立つ5因子モデルを解説

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認知行動療法入門

 

東大医学部の認知行動療法入門編というものあるのですが、これがかなりわかりやすく認知行動療法について書かれていたので、今回からこちらの資料を参考に認知行動療法について解説していきます。

 

資料は無料で配布されていますので、気になる人は元の資料を読んでみてください。内容がわかりやすいだけではなく、要点がまとめられ文量も短く編集されているのですぐ読めます。

 

認知行動療法とは?

 

認知行動療法とは、現在生じている問題を具体的にし、変えにくい感情ではなく、考え方や行動などの変えやすい部分から少しずつ変えていくことで、問題の解決をめざす心理療法です。

 

そのためにはまず、考え方と感情と行動などの違いについて理解しておく必要があります。

 

ポジティブとネガティブな感情の役割の違い

 

感情は人間が進化する過程で生まれました。感情を大きく分けると、より多く持ちたいと思うポジティブ感情と、あまり持ちたくないと思うネガティブ感情に分けられます。

 

ポジティブな感情にもネガティブな感情にも役割があります。ポジティブ感情には、他の人との交流を促進し、目的をもった行動を促進する役割があります。

 

つまり、ポジティブ感情には特定の活動に対する行動力を上げる心理効果があるのです。

 

一方で、ネガティブ感情は、自分に何か問題が生じていることを知らせたり、行動を抑制するための「心のアラーム」の役割があります。

 

目覚まし時計と同じで、アラームは不快でないと役割を果たさないので、ネガティブ感情には不快感があるのです。

 

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心の中の反応と心の外の反応を区別する

心の中の反応

 

感情と思考は、心の中で起こるものです。

 

感情とは、ひとつの単語で表せるものです。例えば、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「不安」などです。

 

考えとは、断言文で表せるものです。文章の最後は「~だ」「~べきだ」「~だろう」などとなります。

 

例えば、「友達が自分のことを嫌っている(だろう)」「夢をかなえるために努力すべきだ」などです。

 

感情と思考は心の中で起こりますが、一方で、心の外で起こることもあります。

 

心の外の反応

 

行動と身体反応は、心の外で起こるものです。

 

行動は、自分の意志で行っている動作です。例えば、「逃げる」、「走る」、「食事をする」、「大声で怒鳴る」などです。

 

身体反応は、自然と生じる肉体の変化です。例えば、「涙が出る」、「手が震える」、「動悸がする(胸がドキドキする)」、「体温が上がる」などです。

 

感情・考え・行動・身体反応の関係と相互作用

 

これらの4つの要素(感情・考え・行動・身体反応)は相互に作用しており、お互いがお互いに影響力を持っています。そして、特定のパターンを持っています。

 

例えば、「自分は幸せになれないと思い(思考)、悲しくなり(感情)、気づくと涙が出て(身体反応)、布団に入って寝込んでしまう(行動)」といった感じです。

 

人によって作用が異なることもありますが、誰しもこのパターンを持っているのは同じです。

 

感情・考え・行動・身体反応は「出来事」や「状況」で変化する

 

これらの4つの反応は、現在の状況や起きた出来事によって変化します。

 

そして、これら4つに「状況・出来事」を含めた5つの要素を認知行動療法では5因子モデルと呼び、これを基礎的な考えとして用いて問題を解決していきます。

 

先ほどの例で言うと、「大事なテストに合格できなかったことで(出来事・状況)、自分は幸せになれないと思い(思考)、悲しくなって(感情)、気づくと涙が出て(身体反応)、布団に入って寝込んでしまう(行動)」というふうになります。

 

5因子モデルと自己コントロール能力

 

この5因子モデルを理解しておくことは自己コントロール能力を高めることに役立ちます。

 

なぜなら、この5因子にそれぞれの対処法で働きかけることで反応の結果を自分自身で変えることができるようになるからです。

 

なので、少し面倒なのですが、できれば5因子モデルを使って自分の行動パターンをリストアップしておくことをおすすめします。

 

「イライラすると、いつもお菓子をたくさん食べてしまうなぁ」みたいな感じですね。これは先ほどの例よりもかなり簡略化したパターンです。

 

このように心の内外の反応を理解しておけば、「太らないためにはイライラするのを防がないといけない(イライラの原因を解消すると良い)」というふうに自分の取るべき行動が明確化していきます。

 

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5因子の変え方、影響の与え方

 

5因子はそれぞれ、次のような方法で影響を与えることで結果を変えることができます。

 

  1. 思考:認知再構成法
  2. 感情:薬物療法
  3. 身体反応:呼吸法、筋弛緩法
  4. 行動:行動活性化
  5. 状況・出来事:問題解決法・アサーション(自己表現・自己主張をする)

 

こうして比べてみると、感情を変えるのは薬物を使わなければいけないために直接働きかけることは難しいとわかります。また処方箋が必要なので、自分の力では無理ですね。

 

別の言い方をすると、私たちは自分の感情を直接変えることができないのですね。

 

感情を変えるのは難しいのでそれ以外を変えていく

 

これは考えてみれば当たり前ですが、例えば悲しい気分の時に、「よし、楽しい気分に切り替えよう!」と思っても、そんなスイッチはついていないので気持ちはすぐには切り替わらないですよね。

 

そこで、認知行動療法では、感情以外の4つの因子(考え・行動・身体反応・状況)に上記の方法で働きかけることで感情に頼ることなく問題を解決し、また5因子の相互作用を利用して間接的に感情を変えていくというアプローチを取っていきます。

 

次回、「行動活性化の解説」へ続きます。

 

参考資料、論文

 

第1回 こころのしくみ(5因子モデル)

http://npsy.umin.jp/~npsy/cgi-bin/wordpress/wp-content/themes/tokyo_univ/pdf/nyumon1.pdf

Hofmann SG, Asnaani A, Vonk IJ, Sawyer AT, Fang A. The Efficacy of Cognitive Behavioral Therapy: A Review of Meta-analyses. Cognit Ther Res. 2012 Oct 1;36(5):427-440. doi: 10.1007/s10608-012-9476-1. Epub 2012 Jul 31. PMID: 23459093; PMCID: PMC3584580.

The Efficacy of Cognitive Behavioral Therapy: A Review of Meta-analyses - Cognitive Therapy and Research
Cognitive behavioral therapy (CBT) refers to a popular therapeutic approach that has been applied to a variety of problems. The goal of this review was to provi...
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