1時間の後ろ倒しで注意力がアップ
学校の時間を1時間ほど遅らせると子供が朝食を食べるようになる!という話がありますが、実は成績が上がることもわかっています。
アメリカで行われた実験で、学校の始業時間を1時間遅らせたところ、ティーンエイジャーの時間に余裕ができたことで睡眠時間が増え、より大きな休息感と注意力を持つことができたと報告されています。
暴力と抑うつ状態が改善
さらには、校内での喧嘩が減り、カウンセラーに落ち込んでいると相談する生徒が減り、退学率までもが低下しました。
始業時間の遅れにより慢性的な睡眠不足が解消されたことで精神的に安定してきたのですね。
成績がかなり上がる
それだけでなく、生徒の成績も上がりました。生徒の上位10%の平均SATスコアは、実験後、1288点から1500点(1600点満点中)に上昇しました。
参考までに、SATスコアというのはアメリカの大学進学のときに用いられる評価基準です。日本で言う、センター試験に点数みたいなものですかね。
全体の平均点は1000点~1100点ほどで、アイビーリーグに属する大学の平均は1400〜1500点ですので、いかに成績がすごいところまで上がったのかがわかります。
学校の時間を遅らせるだけでここまでの学習効果が見られるのはすごいですね。費用対効果がかなり大きいと思います。
低所得層にも大きなメリット
また、この始業時間を遅らせる政策は、低所得のマイノリティ層にも大きな効果があることが認められています。
生徒の大多数が、マイノリティで、政府補助を受けるほど所得が低い地域の高校で、学校の開始時間を7:15から8:40に変更したところ、生徒の成績は向上し、退学率は低下し、授業の出席率も上がりました。
これらの結果は、睡眠習慣が文化的なものではなく、生物学的なものであることを証明しています。
交通事故が減る
さらに、この影響力は学問的なことだけにとどまりません。
例えば、アメリカのレキシントンで行われた実験では、授業の開始時間を遅らせたことで10代の交通事故が16%も減少しました。
また、WHO(世界保健機関)によると、「社会的な時差ボケがあること」と「睡眠障害に近い症状が出ていること」は、自動車事故や医療ミスの増加につながると言われています。
学校の始業時間は、実は命にかかわる問題なのです。もちろん、仕事の始業時間も同じでしょう。
事故やミスを減らすためには、国民全員にたっぷり寝てもらう必要があるのです。
始業時間を30分遅らせるだけでも効果がある
また、ロードアイランドで行われた実験では、開始時間を30分遅らせただけで、学生の平均睡眠時間が45分も増加しました。
個人のクロノタイプに合わせて活動時間を変えてあげるだけで大きなメリットが得られるのです。
というわけで、朝が苦手な人は夜に活動できるように活動時間を調整していきましょう。
参考資料
The Science of Internal Time, Social Jet Lag, and Why You’re So Tired
https://www.brainpickings.org/2012/05/11/internal-time-till-roenneber/
Sleep and the Teenage Brain
https://www.brainpickings.org/2013/07/17/sleep-and-the-teenage-brain/