クロノタイプは年齢で変動する
最近では少し有名になってきましたが、私たちは朝型、夜型というふうにクロノタイプ(体内時計)が生まれつき異なっています。
この違いのために早起きが得意な人もいれば苦手な人もいます。さらにはこのクロノタイプによって性格や能力など、それぞれに好みや得意分野も異なるのです。
しかし、実はこの体内時計は私たちの生涯で常に同じ状態で固定されているわけではありません。
面白いことに、私たちの年齢の変化に伴って得意な時間帯も変動しているのです。
幼少期、老年期は早起きになる
例えば、小さな子供は特に早起きをします。これは心当たりのある人も多いのではないしょうか。
自分の幼少期のころを思い出してみてください。両親よりも早く起きて遊んでいませんでしたか?そして子供は大人よりもずっと早くに寝ますよね。
また、高齢者も小さな子供と同じように早く目覚める傾向があります。こちらも有名ですね。
このように私たちは生涯を通して体内時計が変動しているのです。
思春期ではみんな夜型になる
子供と高齢者の例からわかるように、私たちの体内時計は「早起き型」→「夜更かし型」→「早起き型」というふうに変化します。
この流れの中で、若者は夜更かし型のピークに入るので、夜更かしと遅刻をしやすくなるのです。
ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン校(ミュンヘン大学)で時間生物学を研究しているティル・ロエンバーグ博士が、20万人以上のデータベースを調べた研究結果では、10代の若者は特に遅刻しやすい傾向があることが見つかりました。
この研究によると、私たちは幼少期・思春期を経ることで概日リズムが遅くなっていき、女性は19歳半、男性は21歳で再び概日リズムが早くなっていくターニングポイントに到達することがわかっています。
つまり、20歳を超えるまでは、遺伝子の宿命によって、私たちは夜更かししやすい身体になっているものなのですね。
そこから徐々に日中の活動に適応していくようになるのです。
若者と中高年の時間感覚は違う
というわけで、思春期を超えたみなさまは、若者が遅刻したり寝坊しても寛大な心で見守っていただきたいと思います。
そしてなるべく朝ではなく午後から活動するように時間調節してあげましょう。
一方で、夜型になってしまっている若いみなさんは、日の光を浴びたり夜遅くにスマホを触らないようにして、体内時計をうまくリセットしていきましょう。
一番良いのはそれぞれのクロノタイプに合わせて活動時間を変えることですが、これは今の社会では容易ではないので次善の策ということで覚えておいてください。
参考論文、資料
Internal Time: Chronotypes, Social Jet Lag, and Why You’re So Tired (English Edition) Illustrated 版, Kindle版 Till Roenneberg (著)
Marc Wittmann、Jenny Dinich、Martha Merrow&Till Roenneberg (2006) Social Jetlag :Misalignment of Biological and Social Time、Chronobiology International、 23: 1-2、497-509、 DOI:10.1080 / 07420520500545979
https://doi.org/10.1080/07420520500545979
Wittmann M, Paulus M, Roenneberg T. Decreased psychological well-being in late ‘chronotypes’ is mediated by smoking and alcohol consumption. Subst Use Misuse. 2010;45(1-2):15-30. doi: 10.3109/10826080903498952. PMID: 20025436.