- 通勤時間が長い人は都心で働いている
- 通勤ストレスが低い人ほど、仕事の満足度が高い
- 通勤ストレスはプライベートをも台無しにする
- 通勤ストレスが低い人ほど仕事の生産性が高い
- 会社好きになる人の特徴
- 年収はあまり関係ない!
- 通勤時間が少ないことで得られる心理的メリット
- 参考資料
通勤ストレスの心理学
通勤ストレスに関する心理学の続きです。
前回の解説を簡単にまとめると、通勤時間が多くなるほど通勤ストレスが増え、通勤時間は男性や役職の高い地位にいる人ほど多くなる、といった話をしました。
今回は通勤ストレスが仕事の満足度や仕事の生産性にも悪影響を与えているということを話していきます。
つまり、企業側は自社に勤める会社員の生産性を上げるために通勤ストレスを何とかして取り除かなければいけないということです。
・前回の解説は↓
通勤時間が長い人は都心で働いている
勤務先の分布を見てみますと、通勤時間が長い人は都心のオフィスに通う人が多く、通勤時間が短い人は勤務先が郊外に分散していました。
そして都心で働く人は通勤ストレスが高く、郊外で働く人は通勤ストレスが低い傾向があります。
これも通勤時間や満員電車による通勤ストレスが原因でしょう。
仕事を終えて家に帰ったあとで、
仕事のことを思い出す
仕事をしてしまう
趣味に時間を使っていない
仕事以外の挑戦事をしていない
仕事以外で新しいことを学んでいない
自分の予定を決めている感覚がない
自分がやりたいことを自分で決めている感覚がない4つ以上YESなら燃え尽き症候群のリスク高
— ちょっぺ〜先生@心理学博士 (@kruchoro) 2020年9月5日
通勤ストレスが低い人ほど、仕事の満足度が高い
また、通勤ストレスと仕事の満足度との関係を見てみますと、通勤ストレスが低いグループほど仕事満足度が高い(平均仕事満足度5.9)という傾向がみられました。
通勤ストレスが少ないグループでは、「自分の存在が認められていると感じる」「自分が尊重されていると感じる」「仕事で達成感を感じる」といった感覚を覚える人が多かったのです。
通勤時間の違いで会社からの扱いが変わるとは考えにくいので、通勤時のストレスが自尊心にかかわるメンタルに悪影響を及ぼしている可能性が高いですね。
通勤ストレスはプライベートをも台無しにする
さらには仕事面だけではなくプライベート面でも通勤ストレスが影響を与えています。
調査によると、通勤ストレスが低いグループほどプライベート満足度が高い(平均プライベート満足度6.3)という傾向があったのです。こちらも以前に解説した研究内容と合致する結果です。
つまり、通勤時のストレスは仕事をしていない時間をも退屈でダメなものにしてしまうのです。
通勤ストレスが低い人ほど仕事の生産性が高い
通勤時のストレスと仕事の成果を比較したところ、通勤ストレスが低いグループほど、生産性やエンゲージメントに関する項目の評価が高いという傾向が見つかりました。
つまり、通勤時のストレスは仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼしているのです。踏んだり蹴ったりですね。
会社好きになる人の特徴
この調査では会社に対する帰属意識についても調べてくれています。
どんな要素があれば、従業員たちが会社を好きになって貢献してくれるようになるのかを調べたのです。
すると、オフィスが快適な空間であるほど、従業員の会社への帰属意識が高く、毎日楽しく働けていると感じられる!ことがわかったのです。
年収はあまり関係ない!
他にも、通勤ストレスが少ない、複数の出勤場所がある、ワークライフバランスがとれている、柔軟な働き方ができているといった要素も会社への帰属意識を高め、仕事を楽しく感じさせる効果がありました。
意外と影響が少なかったのがお金です。いくら年収が高くなっても、会社への帰属意識が高まるわけでも、仕事が楽しくなるわけでもないのです。
やはりお金を幸せの指標にするのは何かと問題がありますね。出勤場所が増えると仕事が楽しくなるのは面白い心理ですね。
通勤時間が少ないことで得られる心理的メリット
最後にまとめると、通勤時間が少ないほど、
- ストレスが減り
- 仕事が楽しくなり
- 仕事の生産性が上がり
- 仕事の満足度が上がり
- 自分が認められている気持ちが増え
- プライベートが充実して
- 会社のことが好きになる
ということになります。
幸せになるだけではなく仕事の成功や企業の繁栄のためにも通勤時のストレスを減らすことは重要なのです。
特に経営幹部の人たちはこのことを覚えておきましょう。
参考資料
通勤ストレスがワーカーの満足度に与える影響 首都圏オフィスワーカー調査 2019
https://soken.xymax.co.jp/2019/06/04/1906-worker_survey_2019/