自由に生きるのは本当に幸せなのか?
悩みごとがあると、「好きなことをしたほうがいい!」「感じたまま自由に生きるほうが幸せだ!」というアドバイスされがちですが、自分の感情に従うことで本当に幸せになれるのでしょうか?
実は研究はこれを否定しています。心の中に芽生えた衝動や欲望といった感情は、何とかして抑えて合理的に行動するほうが私たちは幸せを多く感じられるのです。
欲望を抑え込んだほうが人は幸せになれる
2013年にシカゴ大学のウィルヘルム・ホフマン博士は、欲望や衝動といった感情を抑えるために使うセルフコントロールと幸福との関連性について研究しました。
この実験では、414人の被験者に調査用のスマホとアプリを使ってもらい、次のような衝動に関するデータをとってもらいました。
- どんな欲望や衝動を感じましたか?
- その欲望に負けずに済みましたか?
そして実験が終わるまで記録し続けてもらいました。
すると、欲望や衝動をうまく抑え込むことができたセルフコントロール能力が高かった人は、人生の満足度が高いという結果が出たのです。我慢できる人ほど幸せだったのです。
我慢できた人はすぐに幸せになった
さらに、この心理効果は短期間でも現れることがわかり、自分の欲望を抑えることですぐに幸福感は高くなったのです。もちろん、長期的に見てもやはり欲望を抑えられる人ほど幸せになるという結果が出ました。すごいですね。
好きなことをしないとストレスフルで退屈になると思う人もいますが、実際には欲望や衝動は一度抑えてきちんとよく考えて行動したほうが良いのです。
衝動を我慢することが幸せに結びつく心理的理由
セルフコントロール能力が幸せな気分に結びつく理由は、自分の感情を抑え込む力があったほうが後悔したり嫌な経験せずに済むので、全体的に幸福度がアップしていくのです。
好きなことをすることよりも、気分の悪いことをしないことのほうが大切なのですね。マインドフルネスにもつながる考え方です。
エネルギーの節約にもなる
また、自分の衝動を抑え込める能力が高いとそれだけ心の葛藤が少なくなり、心のエネルギーを無駄に消費せずに済みます。なので、それだけ元気に活動することができるのです。
気分が乗らないからとダラダラ過ごしてしまうと、一日無駄にしてしまった!と後悔してしまいます。しかし、頑張って「よし、やろう!」と奮い立たせて趣味に没頭したり外に出かけたほうが比べてみると幸せですよね。
セルフコントロール能力が高いとすべてがうまくいく
最初は面倒でも最終的に利益が大きくなるのは自分の衝動をうまくコントロールするほうなのです。
他の研究でも、セルフコントロール能力が高いと頭が良くなったり健康になったり年収も高くなるというデータが出ています。衝動に弱いのは不健康なせいかもしれないのでこちらにも気を付けておきたいところです。
ホフマン博士は、セルフコントロール能力は人類が持つ最も価値の高い財産だ、とまで言っていますので、みなさんも最初は苦痛に感じても衝動や欲望には従わず、セルフコントロール能力を高めて本当に望んでいる行動をとっていきましょう。