疲労感を減らすコツはコントロール感
あなたは仕事や勉強、または家事によって生み出される疲労感を減らしたいですか?それならば良い方法があります。
2006年におこなわれたシェフィールド大学心理学部のG・ロバート・J・ホッケー、フィオナ・アール博士らの実験によると、仕事が生み出す精神的疲労感は作業スケジュールを自分でコントロールすることにより緩和されることがわかっています。
つまり、作業へのコントロール感を持てるかどうかで感じる疲労のレベルは変わってくるのですね。
仕事の疲れが残らない
この実験では、参加者たちに2時間の事務作業をしてもらいました。
その際にタスクのコントロール感が疲労感への影響を調べるために、実験参加者たちはハイコントロールグループ(自分の仕事を自由にスケジュール調整できる)とローコントロールグループ(あらかじめ決められたスケジュールに沿って仕事をする)に割り当てられました。
すると研究者の予想通り、タスクのスケジューリングを自分で決めることができた人たちは主観的疲労感が少なく、働きすぎることがなくなり、仕事後に残る疲労感も少なく、作業負荷の影響が軽減されました。
つまり、仕事の疲れを減らし、仕事終わりや次の日に疲れを残さないためには、作業へのコントロール感を持って仕事に挑むことが重要なのです。
疲労感を減らすのにおすすめなのは運動。ダイエットやボディメイクに興味がない人は、「疲労を回復させるために運動するぞ!」というモチベーションで運動してみましょう。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年5月8日
何かを始める前にスケジュールを計画しよう
このように主観的なコントロール感がストレスや疲労感を軽減することを「コンペンサトリーコントロール理論(Compensatory Control Theory、CCT)」と言います。日本語に直訳すると、補償的制御理論ですね。
この心理学を実践するのであれば、例えば、仕事に実際に取り掛かる前に一日のスケジュールを決めておいたり、手を付けるタスクの順番や種類を計画しておくと良いでしょう。
仕事がもたらす精神的疲労感が軽減されれば、仕事を今よりも嫌いにならずに済みますから、この心理テクニックは疲労感を取り除く以上に大きなメリットがありそうです。
参考論文
Hockey, G. R. J., & Earle, F. (2006). Control over the scheduling of simulated office work reduces the impact of workload on mental fatigue and task performance. Journal of Experimental Psychology: Applied, 12(1), 50–65.