音楽を聴くと適当な性格になる!?
音楽に関する心理学の話ではポジティブな結果を与える!という内容のものが多いですが、今回はネガティブな話です。
なんと音楽を聴くだけで判断力が鈍り、ちょっと適当な性格になり、合理的な判断がしにくくなる可能性があるのです。
現代では、買い物をするときには音楽はどこでも流れているものなので、これはちょっと嫌な話ですね。
意思決定の速度が上がり正確さが低下!
今回紹介するのは、2022年のブエノスアイレス大学のアグスティン・ペレス・サンタンジェロ 、カシミール・J・H・ルートヴィヒ、ホアキン・ナバハ、マリアーノ・シグマン、マリア・ジュリアナ・レオーネ博士らの研究では、32人の参加者を対象にクラシック音楽の演奏を聴きながら一般的な知識を問う認知的タスクをおこなってもらいました。
すると、流れている音楽のジャンルやBPMの速さを問わず、音楽がかかっているだけで意思決定のスピードが速くなり、判断の正確さは低下したのです。
つまり、音楽を聴くことで慎重さと注意力が低下して、簡単に物事を決めるようになってしまったのです。
音楽のテンポは関係ない
過去の研究では、BPMの速いテンポの良い曲を聴くと意思決定力が下がってしまう!という結果はありました。
しかし、今回の研究では曲のテンポの速さは関係なく(毎分40ビートと毎分190ビートのテンポが異なる同じクラシック曲を用意)、すべての音楽にこの心理的影響がみられたとのことで驚いています。
音楽を聴くと判断力が鈍くなる理由その1
研究者らによると、音楽で判断力が鈍った理由として、音楽を聴くことでタスクの達成に必要な情報量が減少したことが原因だと考えられています。
つまり、音楽を聴くことでそちらに気を取られてしっかりと考えることができなくなってしまったのです。
この時期はどこのお店もクリスマスムードが満載の飾りつけをしますが、実際にこれは顧客に良い印象を与える心理効果をもたらします。特に大事なのがクリスマスソングを流すことで、音楽と飾り付けが同時に示されるとよりお店の評価は上がります。マーケティング心理ですね。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年12月25日
音楽を聴くと判断力が鈍くなる理由その2
また、もう一つの可能性として使われた曲がクラシックであり、参加者の好みを反映していないことでネガティブな気持ちになったことが関係しているのかもしれないとも述べています。
しかし、人はネガティブになると、どちらかというと意思決定のスピードは下がるものなので怪しいですね。逆に、気分が良くなって適当な性格になるのならわかるのですが。。。
詳しい理由はまだわかりませんが、大事な決断をするときには雑音だけではなく音楽もかかっていない環境で考えるようにしましょう。
参考論文
Perez Santangelo, A., Ludwig, C. J. H., Navajas, J., Sigman, M., & Leone, M. J. (2022). Background music changes the policy of human decision-making: Evidence from experimental and drift-diffusion model-based approaches on different decision tasks. Journal of Experimental Psychology: General. Advance online publication.