夜型人間が成功しやすい科学的理由
朝型の人に比べて夜型の人の方が賢かったり成功しやすいという研究に対して、イギリスの進化心理学者であるサトシ・カナザワ博士は、進化によって人類が夜行性を取得してきたからだと説明しています。
つまり、夜型の人たちは進化によって賢さと夜行性を身につけてきたのです。
「もともと人類は夜中の活動に適応できるように進化していないので、知性が低いと夜更かしや夜の活動に対応できないのではないか」という仮説です。夜更かしをするタイプの人は進化学的に新しい人類なのです。
概日リズムを決めるのは脳みそ
人間を含む単細胞生物から哺乳類まで、自然界のほぼすべての種は、概日リズムと呼ばれる1日の活動周期を持っています。
そして哺乳類の概日リズムは、視床下部の視床上核(SCN)と呼ばれる2つの神経細胞群によって制御されています。
概日リズムを変えられるのは人間だけ
しかし、ヒトの場合は特別で、他の哺乳類の種とは異なり、意識的にも認知的にも体内の生体時計のリズムを上書きするというユニークな能力を持っています。
つまり、人間にとっては、概日リズムは完全に遺伝で決まるわけではないのです。
人間だけは他の動物たちと違って、何時に寝て何時に起きるかを自分で選択することができ、自分で夜フクロウタイプになるか、朝ヒバリタイプになるかを選択することができるのです。
人間が夜にするのはセックスだけ
この概日リズムには個人差があり、中には夜行性が強く出る人もいますが、人間は基本的に昼行性であり、昼間に行動します。
人類の歴史上全ての文化を分析してみても、どの伝統文化でも夜行性の活動については言及されていません。唯一の例外として「夜の求愛」があるだけです。
人間は昼に活動するようにできている
広範囲にわたる民族の調査でも、伝統的な社会の人々は通常、太陽によって提供される自然光を最大限に活用するために、夜明け前に起床し、夕暮れ後にはすぐに就寝しています。
実際に原始的な生活をする民族では、日々の活動は早くから始まり、暗くなる頃には村の中は静かになっています。
ただ満月の日は例外で、満月であれば昼間とほとんど変わらずよく見えるので、夜更かしをしたり、人付き合いをしたりして光を利用しています。
夜行性の人達は進化してきた
私たちは日々の活動を昼間のうちに行っており、夜行性の活動は進化的に新しく生まれたものというのが進化心理学者の見解です。
つまり、夜に活発に活動する人たちは環境により適応できるように進化してきたので、頭がいいのも当たり前だということです。
一見すると夜型の人はだらしがないためにそのような生活を送っているように見えてしまいますが、実際には他の人たちにはできない高いパフォーマンスを、夜中であっても引き出すことができるために彼らは夜にも活動するのです。