内向的な人は内気にもなりやすい
2015年のマイソール大学(インド)の研究によると、内気さ(シャイさ)のレベルは私たちが住んでいる文化圏からも影響を受けるということが示唆されています。
この研究では、インド、アフリカ、イラン、モルディブに住む17歳から30歳までの200人の学生(男性100人と女性100人)を対象に、内気さと外向性および神経症的傾向と精神疾患の有病率について調べられました。
すると、内気性が高い人では、内向性と神経症的傾向のスコアも高くなることがわかったのです。
つまり、内気な人は同時に内向的で神経症的になりやすいのです。世間一般のイメージ通りという感じですね。
過去には内気さと内向性の違いについて解説してきましたが、これらは個別の性質として同時に出現しやすいのです。
女性のほうが内気な人は多いのか?
ちなみに、内気さのレベルには性差は認められず、女性のほうが生来内気っぽい性格である!というのは誤ったイメージである可能性があります。
とはいえ、過去の研究では性差があるかも?とも言われているので、正確なところは追加の試験結果待ちですが。
また、同じく宗教的指向も関連がありませんでした。信仰心が強い人ほど内気になりやすいというわけではないようです。
国ごとに内気さのレベルが変わる
さらに、内気さは国ごとでも大きく異なるという結果が出ました。
研究者は、育った文化圏によって内気になりやすいかどうかが決まる可能性があると述べています。
そう言われると、よくあるグローバルイメージ通りに、日本は内気になりやすい文化圏に入りそうな気がしますね。
住んでいる文化圏で内気さが決まる心理的理由
なぜ内気さが文化圏ごとに異なるようになるのかというと、内気さが奨励される文化があるからです。
わかりやすいのが集団主義的な国と個人主義的な国の違いです。
集団主義的な国の社会では、あまり出しゃばった真似をすると嫌われます。
一方で、個人主義的な国の社会では自発的な行動はよりポジティブな評価を得て称賛されます。
これらの違いによって、私たちが育った環境によって内気さのレベルが変わってくるのです。
人は家族や友人に大きく影響されています。あなたの性格や行動をかたちづくるのは、まわりの人間関係です。誰といるときの自分が好きなのかを理解し、その人と一緒にいる時間を増やすことが幸せと成長につながります。自分を変えたいのなら、人付き合いを意識しましょう。何をするかよりも誰といるか。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年2月25日
環境を変えれば性格は変わるのか?
しかし、研究者は、たとえば集団主義的な国から出て個人主義的な海外で暮らすようになることで、個人の内気さのレベルが下がるほか、よりその社会で歓迎されるような行動を学び性格も変わっていく可能性があると述べています。
また、より自分の性格に合う環境で暮らすために海外に渡航することを望む人もいると述べています。
つまり、世間一般でもよく言われるように、母国の社会環境が合わない場合には海外生活を送りたくなるような心理が現われるのですね。
参考論文
Afshan, Ambreen, et al. “Shyness, Self-Construal, Extraversion–Introversion, Neuroticism, and Psychoticism: A Cross-Cultural Comparison Among College Students.” SAGE Open, Apr. 2015, doi:10.1177/2158244015587559.