成功をイメージしてはいけない
自己啓発本などでは「成功したければ、自分が成功している姿をイメージしなさい」とたまに書かれていますし、セミナーや講演などでこのようにアドバイスするコンサルタントもいます。
しかし、実はこの方法は数々の心理学の研究で否定されています。
例えばスポーツ心理学の研究では、目標達成している状況を頭の中で想像してもらったのですが、それでは被験者たちの実際の成果は上がらなかったという結果が出ています。
ポジティブイリュージョン現象
このような心理現象が起きてしまう理由は、ポジティブな妄想をすることで、脳みそが成功の幻想に憑りつかれてしまうからです。
UCLAでポジティブ心理学や社会心理学について研究しているシェリー タイラー博士は、この心理現象をポジティブ思考がもたらす幻想、ポジティブイリュージョンと呼んでいます。
他にもポジティブ思考の罠やポジティブ思考のデメリットという話題の時に話される心理現象です。
ポジティブイリュージョンが起きやすい3つの状況
ポジティブイリュージョンは、次の3つのことを考えるときによく起こることがわかっています。
- 自己イメージ
- 自己コントロール能力
- 自己将来
前述した自分が成功や目標達成をしているイメージは、自己の将来についての想像ですね。
今回解説している自己将来に対するイメージ以外にも、自分のイメージについて考えたり(自分は頭が良くて仕事ができる)、自己のコントロール能力(自分はジムをサボったりなんかしない)というような心理的な錯覚があります。
私たちは自分のことを考えているときは、過度にポジティブになりすぎる傾向があるのですね。もちろんポジティブにも良い影響はあるのですが、世間で言われるほど万能ではないのです。
目標達成のビジュアル化で怠けものに!
成功や目標達成のビジュアル化(成功している自分の姿を想像すること)は、成功した自分のイメージが浮かんで気分が良くなるだけで、やる気がアップしたりパフォーマンスが上がるといった心理的な効果はありません。
さらには効果がないどころか、自分で目標を考えて掲げた意味もなくして逆効果にもなってしまいます。
ポジティブイリュージョンの解き方
ポジティブな思い込みを解くためには、単純にに目標を達成をした成功イメージを思い浮かべるのではなく、目標を達成するために必要な作業を明確にして、そこに至るため道のりをイメージトレーニングすることが大切であるとわかっています。
目標のイメージについてUCLAが行った実験では、「良い成績を取る自分」をイメージした学生よりも、「図書館で勉強している自分」を思い描いた学生のほうが成績は良くなったという結果が出ています。
つまり成功ではなく、努力をイメージするのですね。別の言葉で言いかえると、目標達成の結果ではなく過程について考えるのです。
やる気がなくなったら努力をイメージ
というわけで、成功している自分の姿や将来ではなく、成功するために努力している自分の姿を想像して自分の心理をコントロールしていきましょう。
私たちはもともとポジティブな思い込みや幻想にハマりやすいので、なんとなく最近やる気がなくなってきたなぁと感じたら、まずは努力している自分の姿を思い浮かべてモチベーションを復活させてみましょう。