謝ることで人間関係が良好に
実は、謝罪には人間のコミュニケーションを円滑にさせる効果があります。
しかも不思議なことに、自分に責任や非がないことでも謝ることで、相手からの信頼を高めることができるのです。
日本人の文化には低姿勢で謙遜が多いところがありますが、これにも意味があったのですね。続きを読んで見ればわかりますが、謝罪というコミュニケーションは効果の高いかなり万能なアイテムだということがわかっています。
日本人の口癖として、話しかける時に「すいません」という単語が頻繁に使われるのは、心理学的な観点で言うと合理的なことなのです。たったこれだけで相手との摩擦が減って平和にコミュニケーションが始まるのです。
謝罪しただけで相手は優しくなる
これはハーバードビジネススクールのアリソン ウッド ブルックス博士が研究で、雨の日に「すいません(I’m sorry)」から入る文章で話しかけられた人たちの反応が変わるのかどうかを調べました。
すると、実験者が何も謝らずに「携帯電話を貸してくれませんか?」と聞くよりも、「雨が降っていてすいません!携帯電話を貸してくれませんか?」と言った方が、携帯電話を貸してくれる確率が上がったのです。
実験は、町中で初めて会った人から携帯電話を借りてみるというシチュエーションでした。見知らぬ人にいきなり電話を貸してくれませんか?と言われたら、かなりびっくりしますし怪しいですよね。
謝罪で承諾率が5倍に跳ね上がる
実際に、実験者が何も謝らずにただ「携帯電話を貸してくれませんか?」と聞いた場合では、承諾率はたったの9%でした。ほとんどの人が携帯電話を貸してくれなかったのです。
しかし、「今日は雨が降っていてすいません!携帯電話を貸してくれませんか?」と謝罪から入ったグループでは、携帯電話を貸してくれる確率が47%と一気に5倍以上にも跳ね上がったのです。
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自分が悪くなくても謝ることに意味がある!
実験の様子を見てもわかるように、謝罪のポイントは自分自身に非がないことで良いということのです。面白いですね。
この実験をした研究者は、こうした謝罪を不必要で過剰な謝罪と名付け、「人間の力ではどうにもならないことに対して謝ることがポイント」だと言っています。今回の場合は悪天候でしたが、自分の影響力を超えたものに謝ることに意味があるようです。
英語では「雨が降っていてすいません」でしたが、これだと日本語としておかしいので、今回の実験の内容を日本語に訳すなら「雨が降っているところすいません」という感じで使うと良いと思います。
今回の実験では雨が降っていることを謝罪しましたが、他にも交通渋滞や飛行機の遅延といった謝罪内容でも効果があります。
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過剰な謝罪で良い人そうに見える!
どうしてこのような結果になるのかと言うと、過剰とも言える謝罪をすることで相手に慈悲の心や親切心が芽生えて、こちらのことを信用しやすくなる心理が働くからなのだそうです。「こんなに低姿勢な態度な人は良い人に違いない」と直感的に思うのですね。
にわかには信じられませんが、確かに逆のことを考えると、「態度が大きくて不躾な人はどうも信用できなくて、できれば何も貸したくない」ですよね。そういう人は何だか腹黒そうにも見えますし、他者に優しくなさそうに見えます。
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謝罪は共感を示す方法になる
研究者によると、謝罪をすることで私たちは相手に共感を示すことができるようです。 この共感のおかげで信用しやすいイメージがつくので、相手はこちらのお願いに承諾してくれるようになるのですね。
今回の研究結果が示すように、謝罪は私たちが思っている以上にコミュニケーションにプラスの影響を与えてくれる簡単なツールとなるので、たとえ自分に過失がなくても、とにかく謝ることが大事なのです。
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共感を示す人は信用されやすい
つまり、日本人はこの心理を昔から上手に活用していたのですね。グローバルな環境だと何かと低姿勢が批判されますが、それはおそらく競争が激しい場所だからかもしれません。
日本のように安全が確保されていて競争よりは協調が奨励されている環境では、低姿勢で人と接する方がコミュニティの平和を維持できるのです。
つまり、低姿勢なこと自体は、実は全然悪くないことだったのです。
と言うと、なんだか常にペコペコしていてストレスが溜まりそうなイメージを持つ人もいるかと思いますが、他の研究でも優れたリーダーには低姿勢な人が多いことがわかっていますし、私たちが丁寧な態度の人たちに好感を抱きやすいは間違いありません。
「今日は天気が悪くて残念ですね」くらいのニュアンスでも効果があるので、軽いところから始めればいいのです。
要は、謝罪によって相手の心を察してあげることがポイントになるのです。
謝る時に共感を意識することでストレスが減る
また、自分が何かしでかしてしまって謝らなくちゃいけないときに「なんか謝りにくいなぁ〜」と感じてしまっても、この知識を思い出せばわりとすんなりと謝れるようになるかと思います。
なので、自分のこの謝罪にはきちんと意味があって役に立つということを理解しておきましょう。
「この謝罪には自分にも相手にもメリットがあるんだ!」と思えれば、恥やプライドのことよりも行動を優先しやすくなりますからね。よほど機械的でない限りは、打算的でもいいので謝る習慣があれば、コミュニケーションが円滑になりやすくなります。
しかも、そうやって謝罪をしたところで大抵の人は怒りません。「そんなことないよ」とか「大丈夫です」と言って笑顔になってくれます。
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謝罪を有効活用しよう
もちろん社交辞令の時もありますが、そうであってもこういう行動の一つ一つが私たちの心理にプラスの効果をもたらすのでコミュニケーションが良い方に動くのです。
逆に言うと、その程度で怒るようなら縁を切った方がいいですね笑。
「渋滞していたのにわざわざすいません」とか「今日は雨なのに来てもらってごめんね」とか「こんな遠いところまでわざわざすいません」「せっかくのお休みなのに大変ですよね」くらいの挨拶をすんなりと交わせれば、相手からは良い人だと思われやすくなるのです。
機会があったら、ぜひ雨の日にでも試してみてください。
というわけで、もしも故意でなくても相手に悪いな思うことをしてしまったら素直に謝りましょう。そして、そんな風に相手が謝ってくれた時も広い心で受け入れてあげましょう。
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