スーツで男性がモテるようになるのはなぜ?
「男性のスーツ姿が好きです!」という女性がたまにいますが、この好みはどのような心理からくるものなのでしょう?
この心理を説明できそうなものとして、男性のスーツ姿は仕事での成功と関連しているということが挙げられます。
調査によると、私たちは、相手がきちんとしたスーツを着ている場合には、よりカジュアルでだらしないように見える服装をしている場合と比較して、その人がより高い給料を獲得し、昇進を勝ち取る可能性が高いと考える心理を持っていることがわかっています。
つまり、かっちりとしたスーツでネクタイを締めた姿になると、それだけで男性は優秀そうに見えるようになるのです。
スーツはより成功しているように見える
2011年に行われたカナダのウィンザー大学のキャサリン・クワンテス、アイリス・リン、ナターシャ・ギダック、ケビン・シュミット博士らの研究では、きちんとした身なりの人のほうが給料が高く、昇進しやすい傾向が見つかりました。
この調査は、伝統的なビジネスウェアと非伝統的なビジネスウェアが、その人に対する態度や仕事ができそうなイメージといった心理的な影響を与えるかどうか、いくつかの職種ごとに分けて調べたものです。
つまり、一般的な仕事の服装とよりファッショナブルで個性的な服装とで、仕事の評価が変わるかどうかを調べたのですね。
服装の違いによる仕事の評価を調べた研究
この実験では、87名の大学生を対象に、男性モデルの写真を見せ、職場でどのような評価をされるだろうか?ということについて質問しました。
このとき、一方の写真では、男性はネイビースーツにネクタイを上まで締めた、いわゆるザ・ビジネスマンという伝統的な服装をしていました。
もう一方の写真では、オシャレなスーツにネクタイのかわりにスカーフを巻いてシャツの一番上のボタンを開けピアスをしているという非伝統的な服装をしていました。
雑誌に載っているモデルみたいな格好ですね。パーティとかに着ていくにはいいかもしれません。
また、職業も10種類用意し、職種によって評価が変わるかどうかも調べられました。
服装がだらしないといじめられやすくなる
するとその結果、伝統的な服装をしていない男性は、伝統的な服装をしている男性に比べて初任給が低く、言葉によるハラスメントの経験が多いと予想されることがわかりました。
つまり、ビジネスマンとしてふさわしいと思われる格好をしていないと、給与が低くなり、職場でいじめられやすくなるだろうと考えられたのです。
別の言い方をすると、職場にふさわしくない服装をしているとそれだけで弱弱しく無能なイメージがついてしまうのですね。
スーツ姿はより男性っぽく見える
また、伝統的な服装をしていない男性は、伝統的な服装をしている男性よりも、ステレオタイプな女性の職業では高い能力を持っていると認識されていることも示されました。
女性的な職業とは、司書、秘書、小学校の先生、看護師、ソーシャルワーカーなどです。
一方、伝統的な服装をしている男性は、非伝統的な服装の男性よりも、伝統的に男性的な職業に採用される可能性が高く、職種に関係なく昇進する可能性が高いと考えられてました。
男性的な職業とは、エンジニア、医師、管理職、パイロットなどです。
別の言い方をすると、かっちりとしたスーツ姿はより男性的なイメージを持たせる心理があるということです。
恋愛はいわば、男性の質を見極める面接試験のようなものです。通常のデートでは、女性は面接官となって男性に質問したり行動を評価しなければいけません。一方で男性は、女性に受け入れられるように、彼女が喜ぶことをしたり潜在能力の高さを見せつけなければいけません。男女では戦略が異なるのです。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年11月15日
男性はスーツ推し!
今回の結果は、男性の服装の選択が、職業やキャリアの成果に関連する雇用者や上司からの期待に影響を与えることを示唆しています。
職種に関係なく昇進する割合が高くなるというのなら、職場では無難な格好をしておいたほうがいいようですね。ザッカーバーグのようなパーカースタイルは極めて特殊な例だと考えられます。
というわけで、マッチングアプリや結婚紹介所の自己紹介写真には、男性はスーツ姿の写真を少なくとも1枚は用意しておくと良いでしょうね。
参考論文
Kwantes, C. T., Lin, I. Y., Gidak, N., & Schmidt, K. (2011). The effect of attire on expected occupational outcomes for male employees. Psychology of Men & Masculinity, 12(2), 166–180.