行動経済学を人生に利用する方法
今回は行動経済学の解説の続きをしていきます。
行動経済学を理解することは、人間の行動の動機をより深く理解するだけでなく、自制心を高め、健康的な習慣を身につけるのに役立ちます。
例えば、運動量を増やしたり、飲酒量を減らしたりするといった個人の目標を達成しやすくなるのです。
また、将来の自分や長期的な目標に対して用いることで、より良い判断ができるようになり、有害な衝動や依存症に陥らずに済み、やるべきことをできるようにもなります。
行動経済学は、私たちの人生に多大な影響を与えることができる可能性があるので近年重要視されているのですね。実際に行動経済学者がノーベル賞を獲得する傾向があります。
行動を変えるためにお金で釣ることは効果があるのか?
多くの組織は、従業員の行動を変えたり目標を達成させるためにお金を使った経済的インセンティブを用います。
これらのインセンティブには、個人の業績に対してボーナスを支払うといったポジティブなものと、悪い行動に対して罰金を科すといったネガティブなものの2種類があります。
しかし、本来であれば社会的だったやりとりを経済的なやりとりに変えてしまうことで、パフォーマンスやモチベーションが下がってしまうなど、経済的なインセンティブは逆効果になることがよくあります。
私たちの直感に反して、お金が生み出すモチベーションには意外と近いところに限界があるのですね。
つまり、本当に習慣や行動を変えるために有効なインセンティブとは、実際にそれが達成可能なもので、また自分たちが目標に近づいていると感じられる進歩的なものでなければならないのです。
小さなことをこつこつとやっていくスモールゴールの心理テクニックが効果的なのはこのためです。
人が正しくない判断をしてしまう心理的理由
私たちは常に最適な選択をするわけではなく、むしろ非合理的で自分の利益に反するような行動をとることが多いです。
行動経済学では、人が非合理な選択をしてしまう理由を、次に挙げるようなものによって意思決定がどのように影響されるかを示すことで説明します。
- 心理バイアス
- 感情の高ぶり
- 不適切なヒューリスティクス
- 精神的疲労
- 損失回避
- 選択肢の過多
- 社会的規範の認識
- 状況
- 環境
さらに、現実でなされる多くの意思決定は不確実性の高い条件下で行われます。
つまり、ある選択のリスクと利益のすべてが把握されておらず、またそれらが常に変化している状況の中で、私たちは意思決定を行わければいけないのです。
健康的な習慣を身につけたいと思ったら健康を意識するよりも幸せを意識しましょう。例えば運動をするなら、「自分は健康のために
運動をするんだ!」と考えるのではなく、「この運動で今よりも幸せを増やすんだ!」と考えるのです。この少しの意識の変化で面倒なことでも気が楽になって続けられます。— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年8月28日
不確実性の心理的影響を理解する
これが正しい判断をすることが難しい理由です。なので、私たちが意思決定の精度を高めて正しい判断をするためには、この不確実性の影響力をよく理解しておくことが必要となるのです。
行動経済学では、消費者の購買、金融機関の貯蓄、ライフスタイルの変化などを主なテーマとして、意思決定における不確実性の影響力を理解することを目的としています。
経済学と言っても、私たちの生活に密接に関係していて、その守備範囲が幅広いのです。だから近年人気の科学分野なのですね。
参考論文、参考文献
実践 行動経済学 Kindle版
リチャード・セイラー (著), キャス・サンスティーン (著), 遠藤 真美 (翻訳)
ファスト&スロー (上) Kindle版
ダニエル カーネマン (著), 村井 章子 (著, 翻訳)
セイラー教授の行動経済学入門 Kindle版
リチャード・セイラー (著), 篠原勝 (翻訳)