ビッグファイブの特徴は世界共通?
研究によると、ビッグファイブの特徴は世界的に見ても驚くほど普遍的な人間の性質であることがわかっています。
50以上の異なる文化圏の人々を対象としたある研究では、「5つの性格因子のそれぞれが個人の性格を正確に表すことができる」と結論付けられています。
これらの研究に基づき、多くの心理学者は、5つの性格特性は単に人類に普遍的なものであるというだけでなく、生物学的な起源を持っていると考えています。
進化心理学者として著名なデビッド・バス博士は、これらの5つの性格特性について進化論的に説明し、これらの性格特性は、私たちの社会を形成するうえで最も重要な資質を表しているとしています。
ビッグファイブに影響を与える要因は?
性格の形成には、生物学的な影響と環境的な影響の両方が関わっているという研究結果があります。
たとえば、双子を対象とした研究では、生まれ持っての資質と育成条件の両方が、5つの性格因子のそれぞれの発達に役割を果たしていることが示唆されています。
この研究では、一卵性双生児123組と二卵性双生児127組を対象に、5つの特性の遺伝的・環境的背景を調べられました。
その結果、各特性の遺伝率は、外向性が53%、協調性が41%、誠実性が44%、神経症的傾向が41%、開放性が61%であることが示唆されました。
性格の半分くらいは生まれつき決まっているということですね。
大人になっても基本は変わらない
また、縦断的な研究によると、これらのビッグファイブの性格特性は、大人になってからも比較的安定している傾向があることが示唆されています。
働き盛りの成人を対象とした研究では、性格は4年間にわたって安定している傾向があり、悪い出来事が起きたとしても人生のなかでの変化はほとんど見られませんでした。
年を取ると変化する性格特性
一方で、個人の成熟度合いがビッグファイブ性格特性に影響を与える可能性があることもいくつかの研究では示されています。
たとえば、人は年齢を重ねるにつれて、外向的ではなくなり(外向性の低下)、神経質ではなくなり(神経症的傾向の低下)、経験に対してオープンではなくなる(開放性の低下)といったの傾向があります。
それに対して、協調性と誠実性は、私たちが年齢を重ねるにつれてより増加する傾向が見つかってます。
つまり、人は年を取ると、人付き合いをあまりしなくなり、ストレスを抱えることが少なくなり、新しいことをしなくなる一方で、他人に優しくて真面目な性格になるのです。
これらの変化はほとんど高齢者や年を取ることに対する一般的なイメージと合致しますね。
これは面白い心理なのですが、明るい性格の人と一緒に過ごすと気分が明るくなるだけではなく、健康にもなります!自分はちょっとネガティブ気味だなぁと感じる人は、明るい友達を作ってたまには一緒に遊びましょう!!!
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生@進化学と恋愛心理 (@kruchoro) 2020年12月21日
性格と行動は一致しやすいが常にではない
これまでの解説で述べてきたとおり、それぞれの性格因子とその特徴的な行動は、多くの人に共通して同時に見られる傾向があることが研究で明らかになっています。
ほとんどの場合に、私たちは自分が持っている基本的な性格特性と一致した反応と行動を示すのですね。
しかし、ある人が、物事に対しどのように反応し行動するのかは、その人が置かれている状況も大きく影響します。
つまり、基本的な性格とそのときの状況との相互作用のなかで、私たちの行動が決定されるのです。
たとえば、外向性の高い社交的な人は基本的にはおしゃべりですし、誠実性の高い人は約束の時間をきちんと守ります。
しかし、これらの特徴は常に一緒に現れるわけではありません。当たり前ですが、個人の外向性が高くても、人見知りをしたり黙っているときもあるのです。
状況次第で、性格も行動も変わるということは人生で役に立つので覚えておきましょう。
参考論文
Schmitt, David & Allik, Jüri & McCrae, Robert & Benet, Veronica & Veríssimo, João & Reips, Ulf-Dietrich. (2007). The geographic distribution of Big Five personality traits. Journal of Cross-Cultural Psychology. 38. 173-212. 10.1177/0022022106297299.
https://doi.org/10.1177%2F0022022106297299
Shiner R, Caspi A. Personality differences in childhood and adolescence: measurement, development, and consequences. J Child Psychol Psychiatry. 2003 Jan;44(1):2-32. doi: 10.1111/1469-7610.00101. PMID: 12553411.
https://doi.org/10.1111/1469-7610.00101
Bouchard TJ Jr, McGue M. Genetic and environmental influences on human psychological differences. J Neurobiol. 2003 Jan;54(1):4-45. doi: 10.1002/neu.10160. PMID: 12486697.
https://doi.org/10.1002/neu.10160
Jang KL, Livesley WJ, Vernon PA. Heritability of the big five personality dimensions and their facets: a twin study. J Pers. 1996 Sep;64(3):577-91. doi: 10.1111/j.1467-6494.1996.tb00522.x. PMID: 8776880.