ファッションとイメージ
着ている服はその人の印象を形成します。たとえば、カジュアルなパーカーを着ている人よりはスーツを着ている人のほうが真面目に見えるでしょう。
それでは、オーダーメイドされた仕立ての良いスーツと、どこにでも売っている既製品のスーツとではどうでしょうか?
やはり同じスーツと言えども印象は異なるものなのでしょうか?それともスーツであれば何でもいいのでしょうか?
高級スーツで印象操作
高級スーツの印象操作の効果を調べるために、2013年にハートフォードシャー大学(イギリス)心理学部のニール・ハウレット、カレン・パイン、イスタンブールビルギ大学(トルコ)応用科学部のイスマイル・オラクチュオール、ベン・フレッチャー博士らは、274人の参加者を対象に実験をおこないました。
この実験では参加者にスーツを着ている男性の画像を見てもらい、5つのポイント(自信、成功、信頼性、給与、柔軟性)で評価してもらうというものでした。
このとき参加者は最大で5秒間、顔の映らない男性の画像を見ることができました。
果たして、たった5秒間という短い時間でも高級スーツの効果は表れるのでしょうか?
良いスーツは優秀そうに見える
さて、結果は驚くべきものでした。
男性は、既製品ではなくオーダーメイドのスーツを着ているときに、信頼性を除くすべての属性において、より肯定的に評価されることがわかりました。
つまり、オーダーメイドのスーツを着ている男性は、自信があって、成功していそうで、給与が高く、考え方にも柔軟性があると思われやすかったのです。
信頼性だけ高まらなかった理由は謎ですが、この研究結果から、男性は仕立ての良い服を購入するほうがより良い印象を相手に抱かせることができると考えられます。
まさにその人の暮らしぶりが、見た目に現れるんですよ。(戒め)
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年2月7日
成功者には印象操作の効果なし
ちなみに、結果は参加者の収入も知覚に影響を及ぼしていまして、高収入の人たちはどちらのタイプのスーツを着た男性にも低い評価を与えました。
どうやら人はお金を稼ぐようになると、あるいは高収入になれるほど優秀だと、見た目の印象に操作されづらいようですね。
確かにこの心理は他の研究結果でも示唆されています。まぁそれでも、男性は高いスーツを着るに越したことはありませんが。
というわけで、ちょっとした変化ですが、勝負をしたいときなどはなるべく良いスーツを着て行ったほうがいいですね。
参考論文
Howlett, N., Pine, K., Orakçıoğlu, I. and Fletcher, B. (2013), “The influence of clothing on first impressions: Rapid and positive responses to minor changes in male attire”, Journal of Fashion Marketing and Management, Vol. 17 No. 1, pp. 38-48.