加工食品で知能低下
子供の知性を高める食品はオーガニック食品だと以前に解説しましたが、今回は同じ研究から子供の知性を下げてしまう環境要因について解説していきます。
つまり、子供時代にやってしまうと賢くなるのではなく、逆にバカになってしまう生活習慣があるのです。
この研究では、ファーストフードを食べること、タバコの煙にさらされること、家の中が人で混雑な状態になっていることは、知能テストのスコアを下げることにつながるという結果が出ました。
子どもの脳は敏感
幼少期の脳はまだ発達途中であるため、毒性に対して特に敏感です。
大人の脳にはほとんど影響を与えないような低レベルの毒性でも、子どもの脳には影響を与えることがあるのです。
その最たる例がお酒やタバコです。子供はお酒やタバコを消費することが法律で禁止されていますが、これはお酒やタバコが持つ毒性が子供にとっては強すぎるからです。
ちなみに、当然ですが、大人だからといってお酒やタバコからまったく毒を受け取っていないわけではありません。特に、喫煙習慣が寿命を大きく縮めることは有名です。
タバコの煙は認知機能の発達を阻害する
受動喫煙によるタバコの煙のほか、大気汚染の一種である微小粒子状物質(PM2.5)も、子どもの知能に悪影響を与えます。簡単に言うと排気ガスですね(排気ガス以外もある)。
これらの汚染物質が脳内で炎症反応(火傷のようなもの)を引き起こし、認知能力の発達を悪くしているのです。
興味深いことに、子供がタバコの煙にさらされるかどうかは、家族の収入と関係があるのかもしれないと研究者は述べています。
大家族は貧困の指標
家の中の混雑状態は同居人の数によって決まります。
同居している家族の人数は、その家族の経済状態を示す指標となり、貧困という背景は、健康的でないライフスタイルを助長し、ひいては子どもの認知テストのスコアに影響を与える可能性があります。
もしかすると、狭い家に他の家族とぎゅうぎゅう詰めになっていることでストレスが増えているとも考えられますが、それ以上に貧困からくるライフスタイルのほうが悪影響が強いでしょう。
赤ちゃん言葉(アメリカでは母親言葉)には、赤ん坊を落ち着かせるとともに発達を促す効果がある。「~でちゅか?」というのは子供っぽくてまったく意味がないように思えるが、実際には大きな意味があるのだ。言葉と同時に発音の仕方も大事。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年6月1日
悪いライフスタイルは人間関係にも影響する!
また、学校の成績だけでなく、これらの要因のすべてが、子どもたちの他者との関わり方にも関わっていると研究者は述べています。
つまり、子供を取り巻く環境は彼らの形成する人間関係やコミュニケーション方法にも影響を与えているのです。
当然ながら知性のレベルが変われば、人との交流に関するスキルも変わってきますものね。
今回の研究結果をまとめると、とにかく子供は健康に悪いものに敏感なので、汚染された空気、受動喫煙、ファーストフードを含む加工された食品、騒音などにはできるだけ注意を払っておこうということになります。
参考論文
Julvez J, López-Vicente M, Warembourg C, Maitre L, Philippat C, Gützkow KB, Guxens M, Evandt J, Andrusaityte S, Burgaleta M, Casas M, Chatzi L, de Castro M, Donaire-González D, Gražulevičienė R, Hernandez-Ferrer C, Heude B, Mceachan R, Mon-Williams M, Nieuwenhuijsen M, Robinson O, Sakhi AK, Sebastian-Galles N, Slama R, Sunyer J, Tamayo-Uria I, Thomsen C, Urquiza J, Vafeiadi M, Wright J, Basagaña X, Vrijheid M. Early life multiple exposures and child cognitive function: A multi-centric birth cohort study in six European countries. Environ Pollut. 2021 Sep 1;284:117404. doi: 10.1016/j.envpol.2021.117404. Epub 2021 May 24. PMID: 34077897; PMCID: PMC8287594.