一口30秒かけて食べると2倍痩せる
今回紹介する減量法はとてもシンプルで、なおかつ激しい運動のプログラムも苦しい食事制限もする必要がありません。
あなたはただ食事の際に食べ物をよく噛めばいいのです。食事をゆっくり食べると、ただそれだけで体重が2倍も減りやすくなるのです。
研究によると、一口食べるごとに30秒間噛むようにしただけで、実験参加者は6ヶ月間で約2キログラムの体重を減らすことができました。
一方で、普段通りのスピードで食事をした対照群では、逆に約4キログラムも太ってしまいました。グループによってかなり差が出ましたね。
食べ方を変えただけで体重が5%減少
これはメキシコで行われた2016年の研究で、6歳から17歳の子供54人を対象に、一口あたり30秒間噛むように指示を出し、その咀嚼時間を計るために小さな砂時計が渡されました。
砂時計を渡したのは、砂時計を使うことでよりゲーム感覚になり、子供でもこのテクニックが実践しやすくなります。ゲーミフィケーションっぽいですね。
また、他にも、食前にコップ1杯の水を飲むことと、食間のお菓子を避けるようにもアドバイスされました(実はたったコップ1杯の水を飲むこともダイエットに役立ちます)。
するとその結果、ゆっくりと食事をした子供たちでは、1年間で体重が3%から5%減少し。
「1年間で体重が3%から5%減少か~。意外と少ないな」と思う人もいるかもしれませんが、ただ食べ方を変えただけでこれだけの変化量はすごいほうです。
食べ方が悪いと太る
一方で、そのような指示を受けなかった対照群では、1年間で7%から8%体重が増加してしまいました。
体重が減るか増えるか、ダイエット中の人にとってはまさに天国か地獄かくらいの違いですね笑。
ちなみに、過去に紹介した研究でも「食べ方が汚く、食事マナーが悪い人ほど太りやすい」という結果が出ています。気になる人は参考までに読んでみてください。
よく噛んで食べると痩せる理由
このような結果になった理由は満腹中枢が刺激される仕組みにあります。
満腹感のメッセージは食事を始めてから15分程度で胃から脳みそへ届きますが、多くの人はこれよりも早く食事を終えてしまいます。
このように満腹感が胃から脳に伝わるまでに時間がかかるため、早食いになるとそれだけ過剰なカロリーを摂取してしまいます。
一方で、食べ物をよく嚙んでゆっくりと食べることで、満腹感が脳みそに到達するまでに時間を稼ぐことができます。
研究者はこれを「スローフードアプローチ」と呼んでいます。
マインドフルネスの訓練をするだけでも、仕事の満足度や幸福感は改善することがわかっています。マインドフルネスをしている人ほどモチベーションが高く、仕事の生産性も高くなり、幸せを感じられるようになります。さらにこの心理効果は12週間以上も続きます。マインドフルネス最強ですね。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2020年4月26日
スローフードアプローチは補助的な使い方で
昔から「食事の際はよく噛んで食べるように」とアドバイスされますが、実際に健康になる効果があるのですね。
というわけで、ダイエット中には自然と食事量が制限されるこのお手軽テクニックを使って食事をゆっくりと楽しんでいってください。
もちろん、すぐに痩せたいのであれば、ただ食べ方だけを変えるよりも食事の内容や運動も合わせて行うほうがずっと効果的です。
なので、スローフードアプローチはダイエットの補助的な使い方や肥満防止の方法として使うと良いでしょう。
例えば、運動をする気が起きない日でも、スローフードアプローチならできるかもしれません。塵も積もれば山となる効果で、毎年5%の体重減少が大きな変化を生み出します。
スローフードアプローチでお子さんの肥満防止
また、今回の実験は子供を対象におこなわれたのもポイントですので、お子さんの太りすぎ防止や肥満の解消にもお使いください。
さらに言うと、スローフードを実践することでマインドフルネスな状態(マインドフルネスイーティング)になって食事もよりおいしく感じられる効果もありますので、幸福度アップも期待できます。
参考論文
Salazar Vázquez BY, Salazar Vázquez MA, López Gutiérrez G, Acosta Rosales K, Cabrales P, Vadillo-Ortega F, Intaglietta M, Pérez Tamayo R, Schmid-Schönbein GW. Control of overweight and obesity in childhood through education in meal time habits. The ‘good manners for a healthy future’ programme. Pediatr Obes. 2016 Dec;11(6):484-490. doi: 10.1111/ijpo.12091. Epub 2015 Dec 15. PMID: 26667210; PMCID: PMC5111762.