頭の良い人に病弱な人が多いのはなぜ?
アニメや漫画などでは、知性の高い優秀な人は運動が苦手だったり、病弱な肉体で描かれることが多いです(近年の作品では文武両道で両方優秀な人も多いですが)。
彼らは普段、屋内で本などを読んでいるので、身体が弱くなっているという理屈です。これは一般的なステレオタイプとしても当てはまるでしょう。
実際に、2017年の研究では、ずば抜けて高い知能を持つ人は、心理的・生理的な障害を経験するリスクが著しく高くなっている可能性があることがわかっています。
賢い人ほど本当に病気にかかりやすい
この研究は、IQが98パーセンタイル(上位2%)以上の3,715人を対象に調査したもので、その結果、高い認知能力と、気分障害や不安障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率との間に強い関連性があることが明らかになりました。
頭の良い人ほど精神に関する疾患にかかりやすくなるようです。
また、こうした人たちは、アレルギー、喘息、自己免疫疾患など、炎症や免疫系の調節不全を伴う疾患の発生率が、全米平均と比較して高いこともわかりました。
同じく頭の良い人ほど、免疫系の疾患にもかかりやすくなるようです。うーん、これはつらいですね。
うつ病にかかるかどうかは遺伝的な原因が50%を占めています。つまり、親戚や家族といった血縁者にうつ病や精神疾患の病歴がある人ほどメンタルヘルスケアに気を付けたほうがいいのです。人によって病気のリスクは変わるので、家族の病歴を知っておくことは役立ちます。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年3月11日
ハイパーブレイン/ハイパーボディ理論とは?
この研究を主導したピッツァー大学のルース・カルピンスキー博士は、この研究結果は、人間の環境に対するストレス反応、特に慢性的かつ持続的なストレスが、脳と免疫系のコミュニケーションに大きな影響を与えている可能性があることを示唆している、と述べています。
高度に知性の高い人々のかなりの部分が、特有の感情的・肉体的な過剰興奮を覚え、その結果として、免疫疾患のような症状が起き、日常的に苦しんでいるのです。
このように、高い認知能力を持つ人は、環境の刺激に対して過剰に興奮した感情や行動を起こしているのではないか?という仮説を「ハイパーブレイン/ハイパーボディ理論(hyper brain/hyper body theory)」と言います。
刺激に対して脳みそが敏感だと肉体も敏感になるのです。HSPのこともありますし、これはありそうな話ですね。
実際にネガティブ思考だったり不安を感じやすい人は入ってくる情報が多いことで知られていますので、こうした人たちはとにかく刺激を減らしたり弱める工夫が必要になります。
参考論文
Karpinski, R. I., Kinase Kolb, A. M., Tetreault, N. A., & Borowski, T. B. (2017). High intelligence: A risk factor for psychological and physiological overexcitabilities. Intelligence. Advance online publication.