興奮しているかどうかで魅力が変わる
以前に「自尊心が低いときには恋に落ちやすい!」という心理を解説しましたが、実はほかにも恋に落ちやすい心理的状況が見つかっています。
それは興奮状態です。たとえそれが一時的な興奮であっても、そのときの興奮のレベルが目の前の相手に対する好意の気持ちや恋愛感情に影響することがわかっているのです。
そして、この興奮状態を作り出すのはかなり簡単です。激しい運動をして呼吸を速くすればいいのです。
ドキドキしていると恋に落ちやすくなる
1981年に行われたカリフォルニア大学バークレー校のグレゴリー・L・ホワイト、メリーランド大学のトーマス・D・カイト博士らの古典的な研究では、男性被験者を集めてその場で思い切り走ってもらい、肉体の興奮レベルを一時的に高めました。
すると、ダッシュをした直後でまだ興奮が覚めていない男性たちは、魅力的な女性に惹かれる可能性が高くなったのです。
このような心理現象が起こるのは、自分が興奮している理由を誤って解釈してしまうからです。
私たちは自分の気持ちの原因となった出来事を正確には突き止められないものなのですね。
しかし、魅力のない人にはより厳しい状況になる
また、54人と66人の男性被験者を対象に行われたグレゴリー・L・ホワイト博士の別の実験では、軽い運動の後で女性が映るビデオを見てもらい、最初の研究と同様に女性を評価してもらいました。
すると、こちらの研究でも、興奮状態の被験者は、非興奮状態の参加者に比べて、魅力的な相手をより魅力的に評価しました。
また一方で、魅力の低い女性に対してはより厳しい目を向けるようになり評価を下げました。
私たちは、身体が興奮すると魅力的な人に惹かれやすくなる一方で、魅力的ではない人には惹かれにくくなるのです。
カップルが長続きするコツ
恋愛関係を長続きさせるコツは、ささやかな愛情です。仲の良いカップルは、豪華なプレゼントや派手な記念日イベントに依存するなく、日ごろから愛情や感謝を示しています。さりげなく見せるささやかな愛情が、二人の気持ちを長続きさせるのです。これは夫婦も同じです。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年9月4日
吊り橋効果、吊り橋理論(Misattribution of arousal)とは?
興奮のレベルが異性に対する魅力を決めるというもので有名な心理実験はカナダのブリティッシュコロンビア州で行われた吊り橋実験です。
1974年に行われたドナルド・ダットン、アーサー・アロン博士らのこの研究では、85人の男性通行人が、恐怖を感じさせるためによく揺れる吊り橋を渡ってもらいました。
そのあとで魅力的な女性のインタビュアーが男性たちに接触し、アンケートへの記入を求めました。
アンケートを終えたあとで、女性は、「実験に関する質問にはいつでも答えます」と説明し、男性被験者たちに電話番号と自分の名前を伝えました。
すると、揺れるつり橋を渡った男性たちは、揺れにくい頑丈な吊り橋を渡った男性たちと比べて、女性により多く連絡したのです。
この心理現象を吊り橋効果、または興奮の帰属の誤り(定訳がないので興奮の誤帰属とも?)と言います。
このような心理を見ていくと、遊園地などにある絶叫マシーンや観覧車がカップルに人気なのもうなづけますね。
参考論文
Dutton, D. G., & Aron, A. P. (1974). Some evidence for heightened sexual attraction under conditions of high anxiety. Journal of Personality and Social Psychology, 30(4), 510–517.
https://doi.org/10.1037/h0037031
White, G. L., S. Fishbein and Jeffrey Rutsein. “Passionate love and the misattribution of arousal.” Journal of Personality and Social Psychology 41 (1981): 56-62.
https://doi.org/10.1016/0022-1031(84)90012-X
White, G. L., & Kight, T. D. (1984). Misattribution of arousal and attraction: Effects of salience of explanations for arousal. Journal of Experimental Social Psychology, 20(1), 55–64.