基本的に顔が良い人は好かれるが…
人は見た目の良い人に出会ったとき、頭が良い、健康である、親切であるなど、彼らに対してポジティブな印象を抱くことが多いです。
「美しいものは良い」というヒューリスティック(自動的な思考)が働くのです。
実際に多くの研究で、外面の良さは内面の良さと結びつくという結果が出ています。顔が良いと性格も良く見えるようになるのですね。
しかし、一方で、身体的魅力に付随して自動的に推測される望ましくない特性も多くあります。見た目が良いことで悪く思われるケースも存在するのです。
ネガティブな第一印象も抱かれやすい
そのため、これらの否定的な印象が、対人関係の発展や進行に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、容姿端麗な人は、自己中心的で、権利を主張し、無能で、乱暴な人という印象を最初に与えてしまうことがあります。
顔が良いから性格がわがままに違いない!と思い込む心理が私たちにはあるのですね。なんとなくわかりますね。一般的にも、顔が良い人やお金持ちの人は苦労をしていない、と考えがちですよね。
しかも最近では、「顔が悪い人が実は良い人で、顔の良い人が実は黒幕だった!」というようなストーリーや、「良い人そうに見える人が本当は裏切者だった!」という話も多いですからね。
こうした文化が顔が良い人に対して悪いイメージを抱くように仕向けている可能性はあります。
顔が良い人は話しかけづらい
また、あまりにも魅力的な人は、近寄りがたく、威圧的な印象を与えることもあります。
見た目が良すぎるがあまりに、一般的な人からすると、美男美女に対して話しかけづらいオーラを感じてしまうのです。
「美女は意外とモテない(口説かれない)」という話がありますが、これにも関連する話ですね。顔が良いだけで孤独になりやすいリスクもあるのです。
これは意外なのですが、顔が良い人ほど恋愛で幸せになりにくい心理的な傾向があります。なぜなら魅力的な人ほど相手に求める基準も高くなり、「もっと良い相手」を求めてしまうからです。顔の良さにも弱点があるのですね(まぁそれでもほかのメリットがかなり大きいのですが小声)。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年9月2日
顔が良い人は医療診断が間違われやすい
さらに、興味深いことに、ポジティブな特性の思い込みであっても、望ましくない結果をもたらすことがあります。
例えば、身体的に魅力的な人の方がそうでない人よりも健康であるという思い込みから、医師が症状を真剣に受け止めないということがあります。
顔が良いとそれだけで良いイメージをもたれるために、病気が進行しているとは思われにくく、病気の発見が遅れてしまうことがあるのです。
意外と、美男美女も苦労しているのです。
参考論文
Gallucci, Nicholas T., and Robert G. Meyer. “People Can Be Too Perfect: Effects of Subjects’ and Targets’ Attractiveness on Interpersonal Attraction.” Psychological Reports 55, no. 2 (October 1984): 351–60.