失恋から立ち直る方法
失恋というのは人生で最も悲しい体験のひとつではないでしょうか。
頭の中が好きな人でいっぱいになって思考が回らないし、仕事は手につかないし、食事も喉に通らなくなったりと、とにかく辛い経験となります。そのくせ、経験しない人はほとんどゼロと言ってもいいでしょうし、生涯に渡って何度も経験することすらザラな、世間一般ではありふれた人生イベントです。
今回はそんなツラ過ぎる失恋を乗り越えて元気を取り戻す方法を心理学の研究から紹介していきます。男女ともに使える心理術ですので、ぜひお試しあれ。
失恋の思い出は忘れようとしてはいけない
さて、早速その方法なんですが、2015年のノースウエスタン大学の研究によると、ツラい失恋は忘れようとするよりも何度も振り返ってそれを詳細に思い出す方が心の傷を癒すのに効果的だということがわかっております。
なんと!世間一般でやりがちな対処法とはまったく逆の解決方法ですね。
この失恋研究では、失恋したばかりの若い男女210人を対象に「恋人とどんな別れ方をしたのか」「なにが原因だったのか」など、失恋の状況だったり分析したことを細かく研究者に説明してもらいました。
それを9週間続けた後でメンタルがどのように変化していったのかを心理テストをして調べたんですね。9週間にわたって何度も「好きだった人との失恋の話をさせる」のですから、けっこうな拷問のように見えます。
が、しかし!
この実験によって、別れた恋人について詳しく説明をした参加者の方が、失恋した痛みや悲しみからの回復がずっと早い!ということが判明したのです。まじか!すごい!
でもよくよく考えてみると、このへんは悲しみや恐怖から目をそらしてはいけないっていう不安な気持ちへの対処法と同じですね。たしかにカテゴリとしては一緒ですものね!
・カップルが絶対にやってはいけない悪いケンカとやった方が良いケンカ
失恋すると自分を見失ってしまう
さて、どうしてこのような結果になったのか、研究者の分析によると、失恋したことによってアイデンティティの崩壊が起こるからそうです。
アイデンティティの崩壊?
どういうことかと言いますと、恋愛関係が終わってしまうと、たいていの人は「自分は何者なのか」という感覚が揺らいでしまうそうなのです。
つまり、「あの人の恋人ではない自分とは何者なのだろうか?」という問いかけが生まれて、私たちは失恋でひどく苦しむことになるのです。失恋によって心がからっぽになる感覚は、ここから来ていたのです。
なんだか哲学の深い問答のようになってきましたが、私たちの深層心理ではそのような変化が起きていたんですね。それくらい恋愛のパートナーの存在というのは、私たちの自己形成に大きく関わっているということです。
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失恋によって失ったものを取り戻す作業が必要
他の心理学の研究でも価値観や人生の意義を持つことの大切さは説かれていますが、失恋の体験でこれが揺らぐというのは新しい発見です。
たしかに私たちは壮大な失恋を経験すると、生きるのも嫌になってしまうことが多々あります。これまで毎日当たり前のようにやってきたことをやる気力が失せてしまったりもしますよね。そういう悲しみの感情は私たちのアイデンティティの喪失から来ている問題だったんです。
そうして崩壊してしまったアイデンティティでも、他者に失恋状況を詳しく何度も説明することによって、なくしたアイデンティティが別の形として再び形成されていき、失恋者たちの心が安定していったというわけです。
やはり恋愛というのは私たちの心に尋常じゃないくらい大きな影響をもたらしているんですね。そういう意味でも、ストレス対策と恋愛テクニックは相性が良いです。
失恋で落ち込んだ気分は意外と長くは続かない
ちなみにこの新しいアイデンティティの形成を心理学用語で「セルフコンセプトリカバリー」と呼ぶそうで、アメリカ国立科学財団とアリゾナ大学の共同研究でも、失恋とはきちんと向き合った方がいいってことがわかっています。
この研究でも、ノースウエスタン大学の研究と同じように、アイデンティティを作り変えるのが早かった人ほど幸福度の回復も早かったということがわかっています。逆にこのアイデンティティの形成がうまくいかないと、別れの苦しみを引きずってしまうようです。
また、失恋した人はその痛みがずっと長く続くと考えてしまうというネガティブな傾向があるようですが、失恋の痛みは私たちは思っているほど長くは続かないということもわかっていますので、安心してください。
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とは言っても、やっぱりアイデンティティを喪失するほどの失恋はすごく辛くて悲しいので、その痛みから目を背けずにきちんと向き合って失恋状況をどんどん描写していきましょう。
自分で紙に書き出すのもありですが、実験のように友達やネットで知り合った人たちに詳しい話を聴いてもらうと回復の効果も高いようです。
失恋したみんな、がんばって向き合ってみて!