- 人前で悪い評価を伝えると、やる気をなくす
- 意外と気にするメンツ
- 注意する時は二人きりのときしよう
- 褒める時は人前の方が効果的
- 二人きりの時の注意は素直に受け止められやすい
- 褒めるときと注意するときで場面を分ける
二人きりの方がうまく伝わる話
大事な話ほど二人きりですると、良い効果があります。
例えばですが、人前でさらりと何かを言われるよりは、二人きりの状態で真面目な雰囲気の中で話すと、より相手の心に突き刺さり頭の中にイメージも残りやすくなりますよね。
人に呼び出されたら、「何か大切な話かな?」と誰でも思いますよね。わざわざ二人きりの状態にして話すというシチュエーション作りが、相手に心の準備をさせるのです。
そしてこれは特に相手の問題点を指摘したり、改善案等を提示するときに使えるテクニックです。
人前で悪い評価を伝えると、やる気をなくす
オーストラリア、クイーンズランド大学のホブマン博士は、プロジェクト監督が人前で悪いことを指摘したり、嫌なことを言ってしまうほど、メンバーが腐ってしまってプロジェクトが失敗しやすくなると指摘しています。
想像してみると、なんとなく気持ちはわかりますよね??
私たちは人前で恥をかかされることを嫌がるので、一緒に働いている同僚やチームのメンバーがいる目の前で注意されると心理的に傷ついてしまうのです。
いわゆるプライドの問題ですね。これは注意される側も、頭ではわかっていてもそこに冷静な気持ちがなかなか追いつかなくなってしまうものなので、相手の立場を配慮した環境で話をする必要があるでしょう。
意外と気にするメンツ
また、ここで大きな問題となるのは、人前での注意は、注意された個人だけでなく、プロジェクト自体やチーム全体にも悪影響を与えてしまうということです。
幸せになる人が誰もいない、悲しい結末しか待っていないのです。
また、この伝え方によって、相手が素直に受け入れない可能性も高まります。良いことなしです…。
この人前での注意は、意外と多くの人がやりがちなので、相手の気持ちにとってネガティブなことを伝える場合には二人きりで話しましょう。
そこまで気にしないだろうと思っていても、人は結構気にするものです。特にプライドに関しては敏感です。
注意する時は二人きりのときしよう
しかし、だからと言って、まったく注意しないのもあまりよくありません。
問題点を指摘したり、解決策や別のアイディアを提案することは相手の価値観を変えてやる気を起こさせる良い機会となります。
それに私たちは期待する相手にしか叱らないということもわかっています。相手の問題を指摘する気になれないというのはチームの雰囲気が悪い証拠かもしれません。
それに一緒に過ごす時間やお互いに触れ合う機会というのは、相手との関係を深めて人間関係を良好にする上で大切です。
相手と仲良くなり仕事を円滑に進めるためには良質なコミュニケーションが必須なのです。
褒める時は人前の方が効果的
さて、ネガティブな注意は人前ではNGだと話してきましたが、しかし一方で、相手を褒めたり賞賛する場合には同僚やチームメンバーといった人前で賛辞の言葉を送ったり、励ますことが良いとされています。
つまり、相手にどんな情報を伝えるか(ポジティブな情報か、ネガティブな情報か)によってシチュエーションを決めるのが心理的に考えると良い戦略となります。
実はオランダのアムステルダム大学のフランク ベルジャックも似たような研究結果を発表しています。
この研究では、従業員の人たちに上司からポジティブな褒め言葉とネガティブな指摘を、人前と個人間だけのやり取りとで、それぞれ言ってもらうところを想像してもらいました。
つまり、「人前で褒めてもらうところ・叱られてしまうところ」、「個人的に褒めてもらうところ・叱られてしまうところ」を実験参加者の人たちに考えてもらったんですね。
その上で、どの状況が一番好ましいと思うか?ということも一緒に評価してもらいました。
すると、当たり前ですが、人前で褒めてもらうのが一番評価が高く、個人的に二人の時に褒めてもらうがそれに続きました。このへんはわかりやすい結果ですね。
特に出世しやすい人はユーモアのセンスも合わせ持っていて、人を褒めたり雰囲気をよくするのが上手だということがわかっていますから、ポジティブな話をみんなの前でするのが得意なのでしょう。
二人きりの時の注意は素直に受け止められやすい
重要なのは、叱られてしまうときです。「人前で叱られるとき」と「個人的に二人きりで叱られるとき」とで実験参加者の心理を比べてみると、個人的に叱られるときの方がネガティブな感情を持ちにくいことがわかりました。
まぁたしかにみんなの前で叱られると、いろいろとメンツが立たなくなって人付き合いがしにくくなってしまいますからね。
それによって、相手からのアドバイスが聞き入れにくい心理状態を作ってしまうのです。
褒めるときと注意するときで場面を分ける
というわけで、人にネガティブな指摘をするときは、人前ではなく、個人的に二人きりで会っているときに限定すべきですね。その方が指摘された相手に好意的に評価されます。
そして褒める場合にはみんなの前でしましょう。すると、褒められた本人だけでなく、それを目にする他のメンバーにも好意的に評価されます。
きちんと見て評価してくれているんだ!と安心できるんですね。リーダーや経営者の人は会話の内容によってシチュエーションにもよく気を使いましょう。
雰囲気づくりはチームを運営する上で大切なポイントですからね。注意していきましょう。
ネガティブな注意を人前ですると、注意された本人だけでなくチーム全体の意識が低下する
逆にポジティブな賛辞を人前で与えると、チームが活気づく
ネガティブなことを伝える場合には二人きりで伝えると嫌われにくい
ポジティブなことを伝える時はみんなの前で伝えると好かれやすい