- 甘い香りは人の心を強くする
- 甘い香りで1.5倍のパワーアップ効果
- 甘いものを食べなくても甘みの効果は得られる
- 砂糖を食べなくても心理効果があらわれた理由
- 砂糖で脳が回復する!は思い込み
- 脳みそには気分を回復させる自動調節機能がある
- 砂糖は頭を悪くさせる?
- 頭を動かすのに必要な糖分量
砂糖は人の心を幸せにする
甘いものは、人を幸せな気持ちにさせます。
ですので、実はカップルで一緒に食事をしに行っているとき、食後に甘いデザートを食べることで仲良くなりやすくなります。
甘いものを食べることで気分が良くなるので、相手にも優しく接するようになるのですね。
これは気分が良くなると相手のことも好きになる連合の法則の応用でもあります。
また、気分が良くなることでもっと一緒にいたい、あるいはもっと長くいてもいいと思えるようになるので自然と付き合う時間が長くなってくれます。
この付き合いの時間は人と人とが仲良くなる上でかなり重要です。
甘い香りは人の心を強くする
オーストラリア、ジェームズクック大学の心理学者プレスコット博士は、94名の大学生を対象に香りが私たちの我慢強さにどのような影響をもたらすのかを実験で調べました。
この実験では、冷たい水の中にどれくらい腕を入れ続けることができるかを測るといったもので、実験の前に様々な香りを用意し被験者に嗅がせて反応の違いを見てみました。
用意した香りは「甘い香り」、「不快な香り」、「心地よいけれど甘くはない香り」の3種類です。
すると、甘い香りを嗅いだ人たちは他のグループよりも長く我慢することができたのです。
つまり、この結果によって、甘い香りが私たちの心を強くさせることがわかったのです。すごい話ですね。
甘い香りで1.5倍のパワーアップ効果
甘くない香りを嗅いだグループでは、平均して約50秒のあいだ我慢できたのに対し、甘い香りを事前に嗅いでいたグループでは平均して約120秒のあいだ我慢することができたのです。1.5倍以上の効果ですね。
この匂いの心理効果は実はバカにできないレベルのものでして、私たちの心を幸せにしたり逆に不幸にしてしまったりします。
相手に好かれたかったら、自分や自分たちがいる場所の匂いには気をつけるべきです。
甘いものを食べなくても甘みの効果は得られる
またアメリカ、ジョージア大学の実験では、51人の学生を対象に砂糖水の心理的な効果について調べたものがあります。
この実験ではまず彼らを2つのグループに分け、片方には砂糖水で口をゆすいでもらい、もう片方には人工甘味料で口をゆすいでもらいました。
その上で意志力を消耗する退屈な作業を両方のグループにしてもらったのです。
すると、砂糖水で口をゆすいだグループの方が作業のスピードが速くなりました。砂糖を口にしていないのに砂糖の心理効果を得られるなんて、驚きの結果ですね。
砂糖を食べなくても心理効果があらわれた理由
これは砂糖水が舌の炭水化物センサーを刺激し、脳のやる気センサーにシグナルが送られ、注意力が高まったことが原因とされています。
つまり、砂糖を体内に取り入れなくても舌先で砂糖の甘みを感じるだけでもやる気は回復するということです。
これは食事制限をしているダイエット中の人たちには朗報ですね。食事を取らなくても砂糖の恩恵を得られるのですから。
特に肉体の見た目は、仕事でもプライベートでも私たちの印象形成に意外と大きな影響力を持っていますので、健康管理と合わせて体型の管理もしておきたいところです。
糖尿病になると、けっこう生活が制限されて辛いですし、アルツハイマー病になる可能性もあります。
砂糖で脳が回復する!は思い込み
わざわざ甘いものを食べて砂糖を取らなくても脳みそはエネルギーを補給できますよ、という研究は他にもあります。
これはアメリカのヘルスサイコロジー誌に掲載された心理学研究です。内容は上の研究よりももっと衝撃的です。
実験では、まず被験者たちに18分間の「不安をかきたてる動画」を見てもらい、その後で以下の3つのパターンの行動をとってもらいました。
- 甘いものを食べるグループ
- 普通の食事をするグループ
- 何も食べないグループ
すると、「甘いもの」を食べたグループの被験者たちは、気分がグンと良くなったのです。
ここだけ見ると「甘いものはやっぱりすごいな」となるのですが、話はここでは終わりません。
実は、普通の食事をした人も何も食べなかった人も、甘いものを食べた被験者たちと同じように気分が回復していたのです。
この研究者いわく、私たちは甘いもので気分が良くなると考えがちなのだけれど、他の食べ物を食べたり、または何も食べないことよりも、甘いものを食べることには大きく目立った効果があるわけではないそうです。
脳みそには気分を回復させる自動調節機能がある
こういった現象が起きるのは、人間の心に気分を安定させる「免疫機能」が備わっているからです。
「明日の幸せを科学する」 で有名なダニエル ギルバート博士によれば、私たちは人生で起こる多くの悲劇(彼女にフラれて失恋したとか就職面接に落ちたとか受験に失敗した)を過剰に見積もり過ぎているそうですが(損失回避の心理のため)、たいていの場合はこの「免疫機能」のおかげで自然とネガティブな感情から脱することができるのだそうです。
つまり、甘いものを食べて気分が良くなるのは錯覚で、ただ何もせずにじっとしてるだけでも、自然と気分は元に戻るわけですね。
人間の体には、精神を自動で調節して適切な状態をキープしてくれるセットポイント機能がついているので、わざわざ糖分をたっぷりと含んだ食事を摂ってまで回復させる必要はないのです。ものすごい便利な機能です。
砂糖は頭を悪くさせる?
ちなみに砂糖を摂ったら認知力が下がったという研究報告(ニュージーランド、オタゴ大学)もあります。
こうなると頭を回復させるどころの話ではなくなりますね笑。砂糖の力への過剰な信頼、砂糖の摂りすぎには注意!ということです。
エナジードリンクや甘いものを摂って休憩しないと脳みそは回復しないんだ、と信じるのは健康のためにもやめた方がいいですね。
ちなみにカフェインが欲しい人はコーヒーかお茶、もしくはサプリメントで補給する方が良いです。缶コーヒー一杯分で十分にカフェインの効果は得られますので、高価なエナジードリンク等に頼る必要はありません。
頭を動かすのに必要な糖分量
というのも、そもそも私たちが思っているほど頭を働かせるのに糖分は必要ないのです。ゼロではダメですが、わざわざ甘いものを食べてまで補給するまでもないのです。
ですので普通の食事をしていれば(病気を抱えていたり極端なダイエットをしていなければ)、頭を働かせながら生きていく上での糖分は十分に足ります(アメリカ、ペンシルバニア大学の心理学者ロバート クルツバンの研究より)。
- 甘い香りを嗅ぐと、人は我慢する意志力が上がる
- 舌先で甘みを感じるだけで、やる気は回復する
- 甘いものを食べなくても、やる気は回復する
- 逆に砂糖を摂ると、認知力が下がる可能性もある(摂りすぎ注意)
- 普通の食事をしていれば、頭のを働かせるのに必要な糖分は十分に足りる
- しかし、デートの時に甘いものを食べると相手と仲良くなれる