何を見るかで人の行動は変わる
目に映る景色が私たちの行動を左右する、ということがわかっています。
私たちは自分の好きなものを見れば、元気になったり喜んだりします。また興味のあるものを見れば興奮してドキドキしながらもそこに目や心が釘付けになって、そのことにしか注意が向かなくなります。
これとは逆に嫌いなものや不快なものを見れば、感情が揺さぶられて気分が悪くなったりやる気を失うこともあります。
つまり、何を自分の視界に入れるべきかということを、実際に行動をとる前に選択しておくことで、仕事や勉強の効率を上げるのも下げるのも自由自在になるのです。
・あなたの魅力をアップさせる自然の景色戦略で好印象を作り出そう
おすすめは色に気をつけること
視界に関する研究で有名かつ、使い勝手も良いものが色に関する心理学です。
家具といった大きな物や、外の景色や住む場所の環境といった変更するのに多大なお金と心理的な負担がかかるものとは違って、自分が望む心理効果を持つ色がついたアイテムは手に入れるのが簡単で経済的にも優しいです。
また購入した後で、そのアイテムが気に入らなかったり心理効果が思い通りに働かなかったとしてもすぐにまた元の環境に戻せます。大きな家具だとそれだけ処分にも手間取りますし、もういいやと諦めてしまうリスクも大きくなりますからね。
色が行動力に及ぼす影響を調べた心理実験
アメリカ、クレイトン大学のストーン博士は、色彩のイメージが人々にどのような心理効果をもたらすのかを調べました。
実験では、赤い部屋と青い部屋を用意し、128名の大学生を対象にそれぞれの部屋で「航空会社の予約係の仕事」をさせてみたところ、青い色の部屋よりも赤い部屋で作業をしたときの方が好成績を残すという不思議な事実を発見しました。
部屋の中に置いてある物も広さも同じで作業内容も同じなのに、作業を実施する部屋の色が違うというだけで人の作業効率が変わってしまったのです。
赤色がもたらす心理効果
どうしてこのような結果になったのかと言うと、実は赤色には私たちの闘争本能や競争力を引き出す力があるからなのです。
これは実際に政治の世界でも使われている心理効果で、例えば、アメリカの大統領選に出馬する政治家はほぼ必ず赤色のネクタイを身につけます。赤色は権力の象徴という心理が私たちの中にあるので、それを見る支持者や投票をする人たちの心には大統領候補者がより優秀に見えるのです。
そして今回の実験でわかったのは、これは相手の心理だけではなく、私たち自身の心理にも有効な手段だということです。
先ほども言った通り、赤色は強さやパワーや権威の象徴なので、それを見ることで私たち自身も自然と自分の力を発揮しやすい心理になるのですね。
集中したいときには使う物を赤色に変えよう
というわけで、身の回りの物の色味をほんのちょこっと変えるだけで作業効率が変わるので、勉強や仕事をする際には赤色を意識的に取り入れてみてください。
ちなみに部屋という意味では、男女で得意な部屋の大きさが変わるという研究もあるので、作業環境の改善に興味がある人は参考にしてみてください。
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