相手を褒めるだけでお願いは通りやすくなる
実に単純な心理法則ですが、私たちは人に褒められると相手の頼みごとや説得を聞き入れやすくなります。
ですので誰かにお願い事がある場合は事前に相手を褒めることでお願い事の承諾率が上がります。太鼓持ち芸人のスキルのひとつですね。
そして逆に、あなたが誰かに褒められた場合なら、実行不可能だったりあとで気分が悪くなってしまうような無理なお願いを引き受けてしまわないように感情を区別することを意識すると良いです。
ときどき褒められるのが苦手だったりよく思わない人がいるのは、これを警戒しての心理対策なのかもしれませんね。
褒めるポイントの見極めは必要
また、褒めるポイントは相手の価値観に寄り添った場所でなければ意味がありません。見当はずれな場所を褒められても「バカにしているな」と思われて機嫌を損ねてしまいます。
さらにはくど過ぎる褒め方も問題で、これだとあからさまに何かお願い事があるなと勘づかれてしまいます。
こうして見ると、やっぱり私たちは直感的に人を褒めることで自分にも良いことがあるのだとわかっているのですね。
人に何を言われるかで行動が変化する
ドイツにあるマンハイム大学の心理学者であるゲルド ボーナー博士は、褒められることで人の行動がどう変化するのかを実験で調べました。
実験では、まず参加者の知性を測るテストを受けてもらってその結果を伝えました。
このとき、伝える内容を2つに分けて、片方のグループには「あなたはすごく成績が良かったです。素晴らしいですね」と相手の能力を褒める結果を伝え、もう片方のグループには「全然ダメだった。才能があるとはとても言えない結果だ」と悪い結果を伝え、意図的に両者の結果を操作して伝えました。
そして実験が終了したと伝えたあとで、偶然すれ違った人に頼みごとをされるという設定を作りました。
実験によって意図的に気分を変えられたあとで行動に変化が見られるかをこっそりと調べたんですね。
すると、テストの結果を褒められたグループのほぼすべてにあたる91%の人たちが知らない人の頼みごとを快適に承諾したのに対し、テストの結果を批判されたグループの承諾率は72%と、両者の間に20%近い差が出ました。
気分が良くなると人は優しくなる
つまり、私たちは褒められると上機嫌になって人助けしたくなり、逆に、けなされたり非難されて不機嫌になると利己的になって誰かのために何かをしてあげようとは思えなくなってしまうのです。
以前に付き合う友達は大切だと言いましたが、こういう心理効果の面を見てもやはり付き合う友達は大切だとわかります。
相手次第でこちらの態度や行動が変わってしまうのですから、優しい人と付き合うに越したことはありません。
人の功績を褒め合う文化というのは、人助けをする上で重要な仕組みの一つだったんですね。素晴らしいと思うことは積極的に褒めていきましょう。そしたらみんな幸せになれます。
褒められると、人は優しくなって利他的な行動をとるようになる
逆に非難されると、人は冷たくなって利己的な行動をとるようになる