【え?】悲しくても笑おう!は間違い?無理に笑っても幸せになれない心理学的な理由

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笑ってみても良い感情は生まれない

 

「人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」というのはよくある心理学のアドバイスです。日本でも昔から「笑う門には福来る」と言いますね。

 

また、最近では心理学の世界だけではなく、自己啓発やビジネス本でも紹介されています。しかし、近頃この心理現象の効果が否定されています。

 

例えば、2016年に行われた追試験で「作られた表情は感情に影響を与えるのか」という同じ実験を繰り返してみたところ、効果が出たグループと効果が出なかったグループがあったのです。

 

というわけで、今回はこの「笑うと幸せになる!」の心理について解説していきます。

 

幸せになるために笑っても幸せになれない

 

アムステルダム大学のワーゲンメーカーズ博士らのメタ分析研究では、1988年に発見された、「ある表情を作るとそれに対応した感情が生まれる」という表情フィードバック仮説(Facial feedback hypothesis)について調べられました。

 

研究者らは世界中にある17の研究室で行われた大規模な心理実験をおこない、以前の実験と同じデザインで、1,894人の参加者たちにまったく同じ内容のことをしてもらいました。

 

具体的な実験方法とは、割り箸を横にくわえたりして無理やり笑顔を作ってみて、それに伴って感情がどう変化するのか調べるというものです。

 

さて、このような内容で追試をしてみた結果、9つの研究室で行われた実験では、ほんのちょっとだけ気分が良くなる変化しか出なかった!ということがわかりました。

 

さらには残りの8つの研究室では、効果がまったく確認されなかった!という衝撃的なものになっています。

 

つまり、効果が出た研究室がほぼ半分しかなかったうえに、効果が出た場合でも非常にその影響力が少なかったのです。

 

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知識がある人には効果なし!

 

研究者らによると、「笑顔を作ると楽しい感情が湧き出てくるものだ」という心理学の知識を持っている人たちは笑ってみても楽しくはならないという共通点があったことがわかりました。

 

つまり、心理学の知識を持っているがゆえに、皮肉にも、心理学のテクニックが効果を発揮しなくなってしまったのです。

 

 

ネガティブな感情を否定すると逆に落ち込んでしまう

 

どうしてそうなったのかというと、心理学の知識を持つことで頭の中に浮かぶイメージが変わってくるからです。

 

心理学の知識を持っていない人の場合、頭の中では「私は今笑っているからきっと楽しいのだろう」と考えるので、自然と楽しい感情が引き起こされます。

 

しかし、心理学の知識を持っている人は「自分が笑顔を作っているのは、楽しい気持ちを引き起こそうとしているからだ。つまり、今は楽しくないのだ」という思考になってしまい、無理やり笑っても楽しい気分が引き起こされず、逆に気持ちが落ち込んでしまうのです。

 

以前にも何度か言っていますが、感情は否定すればするほど大きくなります。ですので、ネガティブな感情であっても一度はそれを受け入れないことには先へ進めないんですね。

 

というわけで、すでにこれを読んでいる皆さまは「無理やり笑おう戦略」を使ってもすぐに幸せにはなれませんので、ネガティブな感情を受け入れるところから始めましょう。

 

笑顔を作ることがまったく無意味なわけではない

 

しかし、人と接するときは笑顔でコミュニケーションする方が良いことがあります。

 

表情が無意味なわけではなく、またまったく感情に影響を与えないということでもありません。

 

ここでのポイントは、無理に表情を作ってみても、思ったより簡単には感情を操れないということです。

 

つまり、無理に笑うのではなく、自然と笑える状況になるようにユーモアのある視線で世界を見て、考え方に柔軟性を持つことが本質的に大切なことなのですね。

 

大切なのはネガティブ思考の使い方

 

ネガティブな感情は決して悪いものではなく、私たちが幸せになるために必要なものです。

 

ネガティブな感情があるから人は努力をしますし、怠惰な生活や自堕落な考えから逃れることができるのです。

 

つまり、大切なのは、ポジティブ思考とネガティブ思考の特性を理解し、それを場面によって使い分けるということなのです。

 

無理に笑ってみても幸せな気分にはならない
しかし、表情が心理に与える影響がゼロというわけではなく、影響が少ないだけ
なので、自然と笑えるようにユーモアを持って生きていくことが大切

 

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参考論文

 
Strack, F., Martin, L. L., & Stepper, S. (1988). Inhibiting and facilitating conditions of the human smile: A nonobtrusive test of the facial feedback hypothesis. Journal of Personality and Social Psychology, 54(5), 768–777.
APA PsycNet

Wagenmakers, E.-J., Beek, T., Dijkhoff, L., Gronau, Q. F., Acosta, A., Adams, R. B., Jr., . . . Zwaan, R. A. (2016). Registered Replication Report: Strack, Martin, & Stepper (1988). Perspectives on Psychological Science, 11, 917–928.

Handle Redirect

Strack, Fritz. “Reflection on the Smiling Registered Replication Report.” Perspectives on Psychological Science, vol. 11, no. 6, Nov. 2016, pp. 929–930, doi:10.1177/1745691616674460.

 
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