- 勇気はあとから作れる
- 気持ちを変えたければ行動に注目しよう
- 内向的な性格、外向的な性格
- 性格を演じることで行動を変えることができる
- 内向的な人が明るく振る舞うと気分が良くなる
- 心を疲れさせないためのアドバイス
- 内向的な人は明るく振舞いたいと思いにくい
- でも本当は明るく振る舞うことでポジティブになれる
- 困った時は、その場に最適な役を演じよう
好きな人の前で緊張してしまう
誰にでも好きな人の前で緊張してしまったという経験はあるかと思います。
というよりも、実はすべての人は片思いの相手の前では緊張していますし、少なからずパニックになっています。これは好きという気持ちの裏返しなのでどうしようもないことです。なので、ある程度はしょうがありません。
しかし、先に手を打っておくことで、ひどい緊張やパニックを起こさないようにすることはできます。
そこで今回は、少しでもこの気持ちを和らげて、好きな人の前でもひどい緊張をせずに明るく振る舞うための心理テクニックを紹介します。
さらにはこのテクニックはただ緊張しなくなるだけではなく、異性に好かれるための条件の一つでもある明るい性格を身につける方法でもありますので、好きな人の前だといつも通りに振る舞えずボロボロになってしまうという悩みを持っている人は参考にしてみてください。
また恋愛の悩みではなく、ただ人が苦手だったり人見知りだったり、人前で緊張しがちな人や内向的な性格の人が明るくなるためのアドバイスでもありますので、もう少し明るく元気に日々を過ごしたいという人も今回のテクニックを使ってみてください。
勇気はあとから作れる
今回紹介する勇気を奮い立たせて緊張を吹き飛ばす方法とは、キャラクターを演じるということです。これをロールプレイングテクニックと呼びます。
ゲームの中には、ロールプレイングゲームというジャンルがあります。王道なのが、勇者になって魔王を退治するというドラクエやFF的なものです。
このロールプレイングゲームの概念を緊張する場面で使うことで、臆病な人でも勇気を振り絞って普段ならできないような行動ができるようになります。
このロールプレイというのは「役割を演じる」という意味です。つまり、勇気が欲しい時には勇気があるキャラクターを想像し、そのキャラクターに自分がなりきって行動すればいいのです。
さながら魔王を退治する勇者のように、自分自身を物語の主人公として操作するように明るいキャラクターを演じるのです。
このとき頭の中に思い浮かべるキャラクターは架空の人でもいいですし、実在の人物や身の回りにいる人たちでも構いません。
これから行いたい行動を取るのに理想的な人物像を思い描き、その人の真似をするように動くことで行動できるようになるのです。
本当は自信なんて持っていなくても、「自分には自信がある!」と見える態度や行動を取ることで、勇気があるキャラクターを演じることができます。
もちろん、これを常時やっていたら疲れてしまうのですが、ここぞという時や、どうしても勇気が欲しい時に「勇気ある演技」をすることは役に立ちます🙆♀️
— 心理学博士ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2019年3月17日
気持ちを変えたければ行動に注目しよう
想像したキャラクターを演じるようにする、そんな単純なことで人間の行動や性格って変わるの?と不思議に思うかもしれませんが、実際に変えることができます。
なぜなら私たちは、自分の過去の行動を参考にして今の行動を決めているからです。以前はこんな風に過ごしていたから今回も同じようにしようだとか、前回やった時に失敗したから自分はあれが苦手なんだという風に、過去のデータを参照して自分の性格や行動を決めているのです。
これは頭の中で過去の自分を想像して、それに合わせて真似するように行動しているのと同じです。
なので、先に行動や見た目から入ることで「自分はこういう人なんだ」「こういう一面もあるんだ」という思考ができるようになります。そして、その情報が感情に送り返されることで自然に性格や習慣を変えることができるのです。
ここで大切なのは思考や性格といった心理的なことではなく、行動そのものに注目し、自分の行なっていることだけに集中することです。
内向的な性格、外向的な性格
これはオーストラリアのビクトリア州にあるメルボルン大学が行った研究で、明るい性格を演じたら人間の心理はどのような影響を受けるのかを調べたものです。
つまり、無理に性格を偽って明るく振舞っていたら逆に疲れてしまうのか、それともそうでもないのかを調べたのですね。
この実験では147人の男女を集め、彼らを2つのグループに分けてそれぞれに特定の性格に見えるように行動するという指示を与えて実験しました。
一方のグループには内向的な性格に見える行動を取るように指示を出し、もう一方のグループには外向的な性格に見える行動をするように指示をしたのです。それぞれのグループに内向的な人のフリと外向的な人のフリをしてもらってどんな影響が出るのかを調査したのですね。
ちなみに内向的な性格というのは、人に言うことややっていることに出しゃばらず、物事に対しては敏感に反応し、人前では落ち着いていて誰に対しても謙虚に振る舞う、といった感じの性格です。
争いごとが苦手な、大人しくて優しい優等生タイプを思い浮かべてもらうといいかと思います。クラスの図書委員のようなイメージですね。
それに対して外向的な性格というのは、誰に対しても人当たりがよく、イベントごとなども活発に行動するような感じの性格です。
人見知りをしない、友達がたくさんいるタイプで、細かな事でもくよくよしない漫画の主人公のような性格ですね。
漫画で例えると、ナルトとかルフィがまさに外向的な性格タイプです。どちらの主人公も誰とでも仲良くなっちゃいますものね。
性格を演じることで行動を変えることができる
この実験期間は1週間で、性格を演じている間は1日に6回ずつ「どんな気分か?」や「どんな行動をしたか?」のチェックをして心理的な影響を記録しました。
すると結果は、内向的なタイプの人が外向的なフリをしても悪い影響はなかったのです。
めちゃくちゃ良い実験結果ですね!内気な性格であっても人見知りであっても、明るく人懐こい性格のように振る舞うことで周りからは話しやすい人だと思われるのです。
なので、たとえ本来は根暗な性格であっても、明るいキャラクターを演じる必要があるときには、存分にそのキャラクターを演じてその場の雰囲気を楽しめば良いのです。
好きな人の前でも「自分は明るいキャラクターだ!」と思って、明るく元気に話しかければいいのです。普段は異性と話すのが苦手だったり、どうコミュニケーションを取ったらいいのかわからなくても、演技をすることでその場をうまく盛り上げることができるのです。
人前でスピーチやプレゼンテーションを行うときにも「自分は話すのが得意で好きな性格なんだ!」と思い込んで演技することで、緊張せずに楽しみながら目的を達成することができるのです。
内向的な人が明るく振る舞うと気分が良くなる
実験の結果によると、大半の被験者にとっては外向的なフリをしても精神的なコストはかからなかったそうです。
自分の元の性格とは違う行動を意識的に取るようにしてもストレスが溜まったりはしないのです。飲み会とかで人に気を使うのとはちょっと違うようですね。
それどころか、なんと内向的な人は外向的に振る舞う事で良い気分を感じられることができ、もともと外向的な人は外向的な行動を意識して増やすことで、情熱や生命力といったポジティブな感情をさらに増加させることができたのです。
つまり、この性格の明るいキャラクターを演じる戦略は内向的な性格の人だけではなく、外向的な性格の人にとってもプラスの影響がある心理戦略だったのです。
明るい性格の人にとっても大きな収穫となるデータですね。ということは、誰でもとりあえずは明るく振舞って生きていけば良いのはないでしょうかね笑。
心を疲れさせないためのアドバイス
ただし、この心理戦略には注意点もありまして、もともとの性格が内向的な人の場合、「外向的なキャラクターを演じている瞬間だけ」は幸福度が増すのですが、「後からそのことを振り返ってみたとき」には幸福度が増えないという弱点があるのです。
明るく振舞っている間は楽しいけれど、あとで思い出してみるとそうでもないと感じちゃうんですね。あそこまで無理して明るく振る舞わなくても良かったんじゃないかと評価が下がってしまうのです。
さらには、内向的な性格の人が外向的なキャラクターを演じたことを振り返った場合、「今考えれば、あの時は疲れたなぁ…」と思ってネガティブになってしまうことも多いという弱点が見つかりました。遊んでいる時は楽しかったけれど、後々考えたら疲れたなぁと思ってしまうのです。
これはどういうことかというと、内向的な人は外向的な行動を客観的に評価できていないということなんですね。やってみたら本当は楽しいのに、やる前とやった後の頭の中では外向的な行動に対する評価を過小評価してしまっているのです。感情に振り回されている状態に近いですね。
しかし、内向的な人でも実際にやってみると楽しいと感じているのですから、これはきちんと評価をし直す必要があります。
自分の行動とその時の気分を日記やメモに書いたりして記録を残すことで、この直感的なギャップを縮めると良いです。私たちは自分の気持ちすらも生あっくには予想できないのです。
内向的な人は明るく振舞いたいと思いにくい
さらには研究者が言うに、生まれつき内向的な性格の人は、外向的な行動によって得られるメリットが他の人よりも少ないのだそうです。そのせいで、メリットを得るどころか、外向的な性格を装うために幸福感に悪影響が出るリスクを抱えているのです。
つまり、内向的な性格の人は読書をしたり映画を見たりというようなゆったりをした活動がもともとは好きなので、バーベキューをしたりアウトドアスポーツをしたりといった外向的なイベントを外向的な性格の人ほどは楽しめないのです。これは好みの問題なのでどうしようもないですね。
しかも内向的な性格の人は、外向的な人に比べて、そもそもポジティブな感情を味わいたいという欲求が少ないことも指摘されています。
外向的な人ほど明るいイベントを楽しめないので、「やりたい!」「行きたい!」という欲求がそもそも起きなくなり、外向的なフリをしてもメリットが少ないとされているのです。
でも本当は明るく振る舞うことでポジティブになれる
しかし、内向的な性格の人でも活動をしている瞬間は本当にポジティブになれますし、その外向的な行動を楽しむ気持ちを持っていることも事実であります。
なので、このメリットを活かして、内向的な性格の人であっても、外向的な行動をした方が良いなと思える場面では外向的なフリをすると良いです。
また、緊張する場面や勇気が必要な時にも、「今は外向的なキャラクターを演じているんだ」と心の中で再認識することで周りに演技していると気づかれずに明るいキャラクターを演じることができます。これも内向的な人にとっては大きなメリットです。
結局のところ、他の研究データを見ても外向的な振る舞いをする方が幸福度が高く、それによって得られる社会的なメリットはたくさんありますので、明るいキャラクターを演じるテクニックを持っておくに越したことはないわけです。
いつ何時、積極的に行動しなくちゃいけない場面がやってくるかわかりませんからね。
内向的な性格の人は、コミュニケーションや人間関係から得られる幸せを過小評価しがちだということも覚えておきましょう。どんな人も基本的には人付き合いを楽しめる性格なのです。
困った時は、その場に最適な役を演じよう
どんな人間でも、嘘をついたり演技をする能力というのは備わっています。私たちは、ペルソナと言って、いくつもの人格や社会的な役割を使いこなして生活を営んでいるのです。
ですので、この演技をするスキルを利用して、その場に最適な役柄を演じて成果を最大化していきましょう。「今はただ役を演じているだけなんだ」と想像することで、普段とは違う行動でも堂々と取る理由ができるようになってまるで本当に勇気がある人のように見えます。
そして、成功した結果を積み重ねていき、そこで感じたポジティブ感情が徐々にあなたを成長させて、演技ではなく本当に勇気が持てる性格になっていくのです。
結局のところ、一番大切なのはどうしてそのような演技をしたいのかです。好きな人を喜ばせるためになら、演技であっても楽しめてしまうのが私たちの良いところです。
というわけで勇気が必要な時にはこの心理テクニックを思い出して、「自分なりの勇者」を演じてその瞬間を楽しんでみてください。
どんな人にも苦手な分野はありますから、そんな時にもこのテクニックを使って自分の力を引き出してみてください。
勇気が必要な時は勇気がある演技をすれば大丈夫
内向的な外向的に振舞っても疲れることはない
どんな人でも外向的に振る舞うことで幸福度が上がる
内向的な人は人間関係の幸せを過小評価しがち
しかし本当は内気な人も人と付き合うことで幸せになっている