孤独は心身の健康に悪い
実は心理学業界の間では、孤独は心にも体にも良くない!と昔からよく言われています。
個人の社会的つながりの質と量は、精神的な健康面だけではなく、実は病気の罹患率と死亡率の両方にも関連しているのです。
今回紹介するのは2010年にアメリカにある名門ブリガムヤング大学心理学部のジュリアン・ホルト=ルンスタッド博士、ティモシーB.スミス博士らが行った研究で、なおかつ科学的根拠が最も高いとされるメタ分析となっています。
このメタ分析レビューは、社会的関係が死亡率のリスクにどの程度影響するか、社会的関係のどの側面が最も予測性が高いか、そしてどうすればこのリスクを緩和できるのかを調べるために実施されました。
社会的つながりで生存率は50%アップする
今回のメタ分析研究は、148件の研究と、合計308,849人もの実験参加者のデータをもとに解析したものです。つまり、かなり信頼のおける科学研究となっています。
そして結果を見てみると、やはり孤独でない人は孤独な人に比べて生存率が高い傾向にありました。
社会的関係が強い人たちでは生存の可能性が50%増加していました。この傾向は、年齢、性、初期の健康状態、死因、追跡期間を調整しても一貫していました。
つまり、どんな人でも社会的なつながりを強化することで死亡率を50%下げることができるということです。今すぐ友達や家族と触れ合いましょう。
孤独はタバコと同じぐらい死亡率を上げる
研究によると孤独になってもすぐにその人の死亡率が上がるわけではなく、慢性的な疲れ、うつ病、原因不明の痛みなどがあって(恐ろしい)、ゆっくりと体を壊していって死亡率が上がっていくことがわかっています。
そしてその死亡率は、なんと喫煙や飲酒をしている人たちが抱えるリスクとほぼ同じだったのです。さらにはこのリスクは運動していなかったり肥満体型などの他のリスク要因の影響をも上回っていました。
つまり、喫煙者ではなくとも孤独な人は、タバコを吸っている人と同じくらいに健康に悪い生活習慣を持っているのです。また肥満ではなくても肥満の人以上に死亡リスクを抱えているのです。孤独の悪影響は恐ろしいですね。
孤独の怖さに気づいていない
しかも多くの人は孤独が持つのリスクの高さに自分自身でも気づいていないこともわかっており、知らず知らずのうちに健康を大幅に害している人がたくさんいる可能性が高いのです。
といったところで、今回は終わります。次回はなぜ孤独がこんなにも危険なのかについて心理解説していきます。