マルチタスクは仕事を遅くして頭も悪くする
マルチタスクは生産性を下げてしまいます。過去の研究では、マルチタスクによって仕事の生産性が40%低下したり、IQが下がったりすると言われています。
しかし、テクノロジーが進化するにつれて私たちがチェックしていなければならないメディアの数は増加していっています。Google Chromeで複数のタブを開き、TwitterやLINEなどのSNSを頻繁にチェックし、さらには職場によってはSlackやMessengerなどを使って上司や同僚の人たちと情報を交換しています。
というわけで今回は、このように複数のメディアをマルチタスクで使い続けると脳みそはどうなるのかを解説していきます。
マルチタスクの弊害について、カリフォルニア大学サンフランシスコ校メリナ・R・アンキャファー博士と、スタンフォード大学心理学部アンソニー・D・ワグナー博士らが2018年に研究でまとめてくれています。
5個以上の同時タスクは重度のマルチタスク障害を生む
メディアを同時使用してマルチタスクをしている人はヘビーメディアマルチタスカーと呼ばれています。
2009年にスタンフォード大学が設けた指標では、メディアマルチタスカーの人口上位3分の1を「ヘビー」、下位3分の1を「ライト」と分類しています。同時に5~6個以上メディアを使っている人がヘビーメディアマルチタスカーに相当しています。
そして、ヘビー/ライトなメディアマルチタスカーの能力差を調べてみたところ、ヘビーメディアマルチタスカーの人はパフォーマンスが低いことがわかりました。
ヘビーメディアマルチタスカーはパフォーマンスが低い
マルチタスクで仕事をしていると「効率が良い」と感じる方もいるのですが、それは気のせいで、ただ作業をやっている感を感じているだけだったのです。
いくつかの認知テストを受けてもらった結果、ヘビーメディアマルチタスカーは作業記憶、長期記憶、注意力、問題解決能力といったものが低い傾向がありました。
注意力だけではなく、問題解決能力や記憶力にまで悪い影響を及ぼしているのは恐ろしいですね。
マルチタスクは認知機能にも悪影響を与える
特に重要なポイントとして、ヘビーメディアマルチタスカーは作業記憶の限界値が低いことが指摘されています。
作業記憶のパフォーマンスが悪くなってしまうと、長期記憶をはじめ、ほかの認知機能にも大きな影響を与えている可能性も示唆されています。マルチタスクは認知機能全般に悪影響を及ぼすのです。
マルチタスクで上がる能力はない
もしもマルチタスクによってタスクの切り替えが早くできるようになれば仕事にも役立ちます。
しかし研究者がマルチタスク能力について調べたところ、そのような何かに役立つといったマルチタスク能力は見つかりませんでした。
つまり、今のところマルチタスクで便利な能力を開発することはできないようです。
結論、マルチタスクをやめよう
日々の生活でマルチタスクを行っている人は、本来持っていたはずの認知能力を犠牲にしてしまっています。
マルチタスクによって劣化させてしまっている認知能力には、記憶力や注意の持続力や問題解決能力などがあります。このために仕事を含めてあらゆる作業のパフォーマンスが下がってしまっているのです。
というわけで一度に行う作業量は制限して、一つの作業にエネルギーを集中していきましょう。結果的に一つ一つやっていく方が多くの作業をこなせるようになります。