通勤時間が与えるメンタルへの悪影響
2014年に行われたイギリスの西イングランド大学ベン・クラーク博士、キロン・チャタジー博士らがまとめた「通勤時間とメンタルの悪化」に関する研究の解説をしていきます。
前回の続きの解説ですので、前回の記事(通勤時間が増えると休日がつまらなくなるというヤバい心理的影響がある)を読んでいない人はこちらも読んでみてください。
前回の話を簡単に振り返りますと、クラーク博士らの研究では、通勤の時間が増えるごとに人生の満足度とメンタルに悪影響があることがわかっています。今回はより細かい条件を見ていきます。
若年層と低所得者層は影響が小さい
調査によると、若年層の成人と低所得者層の人たちの場合は、通勤時間が増えても仕事の満足度に悪影響を及ぼすことはありませんでした。人によって通勤ストレスの度合いが変わるとは、意外な結果ですね。
理由はよくわからないのですが、仕事を始めたての新社会人には、比較するものがないので通勤時間の痛みが感じにくいのかもしれません。低所得者層の人たちの場合は、通勤時間に関係なくもともとの仕事の満足度が低いので影響が小さかったのかもしれません。
男性より女性の方が悪影響が大きい
通勤時間が長いことによるストレスは、男性よりも女性の仕事の満足度に大きな悪影響が出る傾向があります。
これの理由もよくわからないのですが、男性よりも女性の方が通勤時間のストレスに敏感なようです。女性は男性に比べてお化粧とか身だしなみに時間と手間がかかるからでしょうか?もしくは何かほかに理由があるのかもしれません。詳しいことがわかりましたらまた報告します。
バスと電車の通勤がストレスフル
また同じ通勤時間でも、徒歩もしくは自転車で通勤する人は、バスや電車通勤の人に比べ、プライベートに対する不満が少ない傾向がありました。
特に徒歩での通勤は余暇に使う時間の満足度を高めて、精神的なストレスを軽減してくれることがわかっています。
やはり通勤をするなら徒歩圏内のメリットが大きく、逆にバスや電車などで人込みの中に長時間押し込まれると苦痛が大きくなるようです。
在宅勤務が最強だった
そして通勤する必要のない在宅勤務では、仕事の満足度と余暇の満足度の両方の向上に関連していました。
やはり在宅勤務が一番仕事と私生活の満足度が高まるという結果になりました。在宅勤務は問題点も指摘されていますが、科学的には正しい働き方なのです。
これはテレワーク待ったなしの良い研究結果ですね。仕事の満足度が上がるということは企業の業績も上がりやすくなるということなので、リモートワークできる職業はなるべく早くリモート化した方が企業にとってもいいでしょう。