ネガティブ思考は悪くない
「ネガティブ思考に注意!」「ネガティブな人には気を付けよう!」というふうに、ネガティブな思考というのはみんなから嫌われがちな存在なのですが、実はネガティブなものにもきちんと役に立つ効果があります。本当にまったく不要なものなら遺伝子が排除しているはずですからね。
そこで、今回はネガティブ思考のポジティブな使い方について話していきます。
ネガティブ思考で不安が減少する
ウェルズリー大学(アメリカ)の心理学者であるジュリー・ノーレム博士の研究によれば、最悪の状態を考えることには未来に対する不安は減らす効果があることがわかっています。
つまり、ネガティブ思考をすると必ず悪い事が起こるわけではないのですね。ネガティブ思考は不安感を煽っているように見えて、実は私たちの不安を減らしてくれているので、逆に悪いことを起きにくくしてくれる効果があるのです。
古代ギリシャ時代から使われている防衛的ペシミズム戦略
ネガティブ思考によって不安や心配事を減っていくことは、防衛的ペシミズム(防衛的悲観主義)と呼ばれる心理現象で、歴史を見てみるとセネカやエピクテトスといった古代ギリシャの哲学者たちも使ったテクニックであることがわかっています。
さらにこの防衛的ペシミズムは、現代ではビジネスにおける意思決定の方法の一つとして使われています。
防衛的ペシミズムは、2008年にインドの経営学者であるサラス・サラスバシー氏が体系化した意思決定の理論「エフェクチュエーション」の中でも理論化されています。
失敗することを先に考えよう
その中にある「許容可能な損失の原則」は、これから行う事業が成功するかどうかよりも、失敗したときにどれだけ耐えられるだろうか?を最初に考えよう、というものです。
つまり、失敗を先に考えておくことで、最悪の事態を避けることができるのです。「まぁこれくらいの失敗なら大丈夫だろう」と守りを固めておくのですね。また、そうして大失敗の不安感を減らすことで、仕事のパフォーマンスにも良い影響が見込めるという利点もあります。
間違ったポジティブ思考の特徴
というわけで、ネガティブな思考や感情が過剰になると確かに生活に支障が出ることもあるのです、一方でそうした否定的な考えや態度が利益をもたらしてくれることもあるのです。
大きな危険を避けるためにもネガティブ思考は必要なのですね。もちろん、非科学的なことを信じたり、被害妄想を膨らませすぎるのはダメなネガティブ思考ですので注意してください。