行動の高速化でポジティブ思考に
以前にも紹介しましたが、高速思考でポジティブな気持ちが増えるという心理があります。
例えば、2003年にプリンストン大学のエミリー・プロニン博士と、皮肉なシロクマ効果で有名なハーバード大学心理学教授のダニエル・M・ウェグナー博士らが、被験者たちに高速で文章を読んでもらうという実験を行ったところ、ポジティブな気分が増加したことがわかっています。
とにかく高速思考することで人は前向きな気持ちになれるのですね。高速思考は単に作業スピードを上げるときだけではなく、気分が落ち込んでいるときにも使えるテクニックなのです。
頭の良い人や成功者たちがポジティブだったりクリエイティブなのは、こういう心理が働いているからなのでしょうね。
高速思考の弱点
そうなると、基本的に高速で物事を考えていたほうがいいのではないか?という疑問が浮かびますが、そういうわけにもいきません。実はこの高速思考にもリスクがあるのです。
研究によると、高速思考をした人たちはリスクを選びやすくなり、金銭的リスクが高まるほか、無防備なセックスや違法薬物の使用などの危険な行動を選びやすくなる可能性があるとも忠告もされています。
ポジティブになると危険を冒しやすくなる
これは要するに高速思考でポジティブになったために、楽観的に物事を考えるようになり、リスクを現実的に見積もれなくなってしまったのです。高速思考というよりポジティブ思考のデメリットということですね。
さらには尊大な態度になって偉そうにもなったこともわかっています。私たちはポジティブになると気が大きくなるのですね。
こうして見ると高速思考は諸刃の剣のように見えますが、大事なのはポジティブとネガティブのバランスと使いどころです。
高速思考が役立つ場面
迅速な思考により人々はすぐに行動を起こすための準備ができるようになると研究者は主張しています。
なので、行動力を高めたいときや落ち込んでいて自信が著しく下がっているときなどに高速思考を行うことで、ネガティブ思考による被害を食い止めることができるようになります。
またダラダラと過ごしてしまっていて動く気が起きない時や、活力が必要な場面でエネルギッシュになりたいときなどにも高速思考を活用してみてください。