幸せになるために超重要な2つの心理戦略を解説【おすすめ】

この記事は約13分で読めます。

f:id:kruchoro:20210120183518j:plain

 

 

人類共通、メンタルを鍛える方法

 

肉体的に健康であっても心理的に不健康状態であったり不安定な状態であることがあります。

 

例えば、定期的に運動をしている人は、身体的には健康であっても、自分に自信が持てず、不安を感じることがあるかもしれません。

 

つまり、肉体的・心理的、両方の側面から健康にアプローチすることが大切なのです。今回は心身の健康を維持するのに役立つ心理テクニックを紹介します。

 

 

セルフコンパッションとセイヴァーリング

 

まず最初にメンタルの健康を維持する上で特に役立つ二つのテクニックを紹介します。それはセルフコンパッション(自分への思いやり)とセイヴァーリング(味わうこと)です。

 

この二つのテクニックは、日常の煩わしさやネガティブな出来事によるストレスといった、感情的苦痛のレベルを大きく低下させることができると研究によって示されています。

 

というわけで、これらのテクニックを使ってポジティブな感情を高める方法について解説していきます。

 

自分への思いやり(セルフコンパッション)

 

セルフコンパッションとは、問題を過度に固執することを避け、自分に優しくなり、自分の抱える問題が他の人にも当てはまることなのだと理解することです。

 

つまり、他人にするように、自分にも優しくすることが大切なのです。

 

しかし、ただ自分に優しくするのではなく、自分の感情を認識したうえで、他の多くの人たちも自分と同じような感情を持っていることを認める必要があります。

 

kruchoro.com

 

セルフコンパッションでうつ病のリスク低下

 

数多くの研究によって、セルフコンパッションの心を持つ人は、幸福度の向上やうつ病のリスクの減少など、さまざまな心理的メリットを享受していることがわかっています。

 

ただ受け入れることが大切

 

セルフコンパッションは、自尊心や自己効力感といった概念とは大きく異なります。

 

セルフコンパッションは共感することで自分自身を理解し、より良く感じようとするのに対し、自尊心や自己効力感といった概念は自分自身の能力や感情について善し悪しの評価を下す必要があります。

 

別の言葉で言い換えれば、セルフコンパッションとは、厳しい自己批判的な判断を使わずに、自分の置かれている状況を見つめてただ受け入れることなのです。

 

そこに正しい、正しくないの判断は必要ありません。あるがままを受け入れるという感じです。ここは瞑想に近い考えですね。

 

心から味わうこと(セイヴァーリング)

 

一瞬一瞬を楽しむことは幸せを感じるうえで重要です。

 

ロヨラ大学心理学部のフレッドB.ブライアントの研究によると、瞬間瞬間の楽しみに集中し、心の底からその感覚を味わったり、感謝することで、ポジティブな感情が増えることがわかっています。

 

心理学用語でこれをセイヴァーリング(またはセイバーリング)と呼びます。例えるなら、幸せを噛みしめるという感覚ですね。

 

ポジティブなものを増やす作業

 

言い換えれば、「味わう」とは、ポジティブな感情や出来事の中にある喜びを心から感じることです。マインドフルネスの概念と似ています。

 

このセイヴァーリングは、ポジティブ心理学では有名なのですが、なぜか日本ではまだほとんど取り入れられていない考え方です。

 

日本語でググっても出ないので、おそらく本記事が初翻訳というか初発信となります(違ったらすいません)。

 

kruchoro.com

 

過去や未来の出来事にも応用できる

 

セイヴァーリングは、過去の出来事の回想したり、 現在の瞬間を味わったり、未来の出来事を期待する、といった3つの時間軸で利用できます。

 

ここが目の前のことだけに意識を集中するマインドフルネスとちょっと違うところですね。セイヴァーリングは現在だけではなく、過去と未来の感覚にも応用できるのです。

 

セイヴァーリングは、セルフコンパッションと同様に、ポジティブな気分のレベルを高めてくれるので、セルフコンパッションと一緒に使うことで効果を倍増させることができます。

 

セイヴァーリングがもたらす3つの心理効果

 

セイヴァーリングには、次の3つの心理的な効果が期待できます。ポジティブな感情の強化、ポジティブな感情の維持、ネガティブな感情の減少です。

 

セイヴァーリングを実践することで、私たちはすでに経験しているポジティブな経験を増幅したり、強化したりすることができます。

 

感情調節の機能としてのセイヴァーリング

 

また、セイヴァーリングは感情調節の機能としても利用することができ、ポジティブな経験に注意を払うことでポジティブな気分をより高いレベルで維持することができるようになります。

 

最後に、セイヴァーリングによってポジティブな経験に注意を払うことで、単純にネガティブな経験を反芻する時間が減ります。

 

これによって気分をポジティブな方向に改善することができるのです。

 

2つの戦略でレジリエンスを高める

 

セルフコンパッションとセイヴァーリングは挫折を経験した時などに有効な手段のひとつです。

 

生きている間、私たちは多くの失敗や挫折に直面することになります。

 

セルフコンパッションとセイヴァーリングは、挫折を味わったときに私たちが再び立ち直る手助けになります。

 

落ち込むことがあったときにこの2つの戦略を使って迅速に問題に対応することで、人生の満足度を高めることができるようになるのです。

 

kruchoro.com

 

セルフコンパッション→セイヴァーリングでメンタル回復

 

例えば、自分を思いやる心を持つことは、誰もが失敗を経験していることを理解し、自分に寛容になるために役立ちます。

 

そしてセイヴァーリングは、ネガティブな経験への注意を最小限に抑えることで、回復力を高めるのに役立ちます。

 

2つの戦略を身につける方法

 

日記を書く

 

レジリエンスを構築し、同時に幸福度を向上させるおすすめの方法は、毎晩数分かけて毎日の出来事を日誌に書くことです。

 

書くことで、起きた出来事を客観的に反省することでき、ネガティブな出来事も素直に受け入れられるようになります。これがセルフコンパッション能力の向上につながるのです。

 

さらに自分自身で慰めの言葉や励ましの言葉を書くことも、セルフコンパッションの能力を向上させます。

 

そして、毎日の日記をつけることは、ポジティブな出来事を書くことで、過去の経験を思い出して楽しむことにつながるので、セイヴァーリングの能力もアップしていきます。

 

kruchoro.com

 

自分に対するネガティブな感情を抑える

 

失敗や挫折に直面したときに、自分自身が無力で無能な人間に感じることはよくあることです。

 

このようなネガティブな感情は、自分が失敗している一方で仲間が優れた成功を収めていると感じたときに大きくなってしまいます。

 

セルフコンパッションとセイヴァーリングは、不十分さと無価値といった自分に対するネガティブな感情を和らげてくれます。

 

セルフコンパッション能力の高め方

 

自己批判と戦い、セルフコンパッション能力を高めるために、クリスチャン・ネフ博士がおすすめする方法を紹介します。

 

気づく、集中する

 

自己批判的な思考を持っていると気づいたら、まずはすぐに立ち止まり、作業を休止し、自分が自己批判・自己否定していることに意識を集中しましょう。

 

判断をやめる

 

そして善悪の判断や評価をせずに自己批判的な思考をしていることを認めます。

 

例えば、このとき自分が良くない思考をしていることに罪悪感を感じないようにしましょう。良い悪いではなく、そのような思考が””あるか、ないか””です。

 

ポジティブなものに言い換える

 

自己批判的な思考をポジティブなものに言い換えましょう。

 

例えば、「私はバカだ」という否定的な思考を「私はストレスを感じているだけの優しい人間だ」というふうに変えてみる、という感じです。

 

ネガティブ思考をやめてポジティブ思考を活性化させる

 

要するに、この一連のエクササイズの目的は、ネガティブな思考を中断し、ポジティブで自己寛容的な思考に置き換えることです。

 

ネガティブな思考は持続的で消えにくいものなので、セルフコンパッション能力と幸福感が改善したと実感を得るまでには、かなりの時間と練習が必要になるかもしれません。

 

それでもこの認知的な働きかけには大きな効果が期待できます。頑張って続けましょう。

 

ポジティブな経験に感謝する

 

人生には多くのストレス、挫折、失敗、不安といったものがつきものです。

 

しかし、同時に、人生には大きな幸せと喜びの瞬間も多くあります。

 

セルフコンパッションとセイヴァーリングは、私たちがポジティブな経験をよりよく理解し、楽しむのに役立ちます。

 

特にセイヴァーリング戦略を使って、深く「味わう」ことで、私たちはポジティブな感情や経験を認識し、その感情を長期間維持することができます。

 

これは仕事でもプライベートでも応用可能です。

 

kruchoro.com

 

セイヴァーリング能力を高める方法

 

ポジティブな経験への集中と追体験

 

セイヴァーリングを簡単に実践できるエクササイズは、毎日数分、ポジティブな経験を実際に深く味わってみることです。

 

これまでに、嬉しかった、興奮した、誇らしかったと感じられた瞬間や出来事をいくつか選んでください。

 

そして、まるでついさっきそれが起きたかのように、その喜びの瞬間を追体験している自分を想像してみてください。

 

このエクササイズを行うことで、私たちは新しい挑戦からより多くの喜びを得ることができ、努力を続けて将来的に成功するためのモチベーションを高めることができます。

 

kruchoro.com

 

ひとつの幸せを、より強く深く長く感じるために

 

セルフケアの基本的な実践(運動、社交など)を超えて、自己を思いやり、一瞬を深く味わうことは、健康やレジリエンスの向上に役立つだけでなく、人生でのポジティブな経験を高めることにもつながります。

 

これは何も、ネガティブな考えや経験を完全に無視したり、何があっても常に幸せでいなさいとアドバイスしているわけではありません。

 

大切なのは、ネガティブな感情や経験を受け入れたうえで、そこから教訓を学び、ポジティブな経験を維持しながらストレスに対処していくことです。

 

そのためのツールとして、「セルフコンパッション」と「セイヴァーリング」が大いに役立つのです。

 

これらの心理戦略を身につけることで、私たちはより高いレジリエンスを身につけ、困難な障害を乗り越えるための術を学ぶことができるようになります。ぜひ試してみてください。

 

kruchoro.com

 

参考論文

 

Bryant, F. (2003). Savoring Beliefs Inventory (SBI): A scale for measuring beliefs about savouring. Journal of Mental Health, 12(2), 175–196.

https://doi.org/10.1080/0963823031000103489

Bryant, F. B., Smart, C. M., & King, S. P. (2005). Using the past to enhance the present: Boosting happiness through positive reminiscence. Journal of Happiness Studies, 6(3), 227–260. doi: 10.1007/s10902-005-3889-4

https://doi.org/10.1007/s10902-005-3889-4

Bryant, F. B., & Veroff, J. (2007). Savoring: A new model of positive experience. Mahwah, NJ: Psychology Press. (English Edition) Kindle版

https://amzn.to/2LLFAMV

Bryant, F. B., Chadwick, E. D., & Kluwe, K. (2011). Understanding the processes that regulate positive emotional experience: Unsolved problems and future directions for theory and research on savoring. International Journal of Wellbeing, 1(1), 107–126. doi:10.5502/ijw.v1i1.18

https://doi.org/10.5502/ijw.v1i1.18

Gilbert, P., & Procter, S. (2006). Compassionate mind training for people with high shame and self‐criticism: Overview and pilot study of a group therapy approach. Clinical Psychology & Psychotherapy, 13(6), 353–379. doi: 10.1002/cpp.507

https://doi.org/10.1002/cpp.507

Leary, M. R., Tate, E. B., Adams, C. E., Batts-Allen, A., & Hancock, J. (2007). Self-compassion and reactions to unpleasant self-relevant events: The implications of treating oneself kindly. Journal of Personality and Social Psychology, 92(5), 887–904. doi: 10.1037/0022-3514.92.5.887

https://doi.org/10.1037/0022-3514.92.5.887

Neff, K. D. (2003). The development and validation of a scale to measure self-compassion. Self and Identity, 2(3), 223–250. doi:10.1080/15298860309027

https://doi.org/10.1080/15298860309027

Neff, K. D. (2011). Self‐compassion, self‐esteem, and well‐being. Social and Personality Psychology Compass, 5(1), 1–12. doi: 10.1111/j.1751-9004.2010.00330.x

https://doi.org/10.1111/j.1751-9004.2010.00330.x

Neff, K. D. (2014). Exercises to increase self-compassion. Retrieved on June 30, 2014, fromhttp://www.self-compassion.org/self-compassion-exercises.html

Neff, K. D., Kirkpatrick, K. L., & Rude, S. S. (2007). Self-compassion and adaptive psychological functioning. Journal of Research in Personality, 41(1), 139–154. doi: 10.1016/j.jrp.2006.03.004

https://doi.org/10.1016/j.jrp.2006.03.004

セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる クリスティーン・ネフ (著), 石村 郁夫 (翻訳), 樫村 正美 (翻訳)

https://amzn.to/3sGDQp1

Savoring: A New Model of Positive Experience (English Edition)  Fred B. Bryant (著), Joseph Veroff (著)

https://amzn.to/3qOBkvp

タイトルとURLをコピーしました