好印象のイメージになる靴の心理学
私たちには、相手がどんな靴を履いているかを見て、その人の性格を推測する心理があります。
意外と相手のはいている靴にも影響されて、私たちは目の前の人物の印象を形成しているのです。
2012年のカンザス大学のオムリ・ギラス、フィオナ・ジー、クリスチャン・S・クランダル、ウェルズリー大学 のアンジェラ・J・バーン博士の研究では、好印象になる靴と逆に印象が悪くなる靴がわかっています。
つまり、人に好かれる「モテ靴」と、逆に嫌われる「非モテ靴」があるのです!まじでか!面白い!
靴の種類で人の性格もわかる
この研究では、208人の学部生(18〜55歳)を対象に性格や仕事の経歴に関するアンケートに回答してもらい、「最もよく履く靴」の写真を提出してもらいました。
その後、靴の写真を第三者に見せて持ち主の評価をしてもらい、最後に集まったデータを分析にかけたところ、印象を操作する靴の種類と、靴を見るだけで持ち主の性格がある程度特定できることがわかったのです。
しかも靴を見て性格を当てる精度は9割とほぼ当たるというすごさ。この数値の高さにはびっくりですね。
つまり、靴がモテるかどうかに関係しているのは、履く靴の選択がその人の性格に関連しているからなのです。
履いていると好感度が高くなるモテ靴
まず好感度の高い靴から先に解説します。それは実用的で安価な靴です。
実験で好感度の高かった人たちでは、実用的で手頃な価格の靴を履く傾向があったのです。
また、こうした靴を履く人はリベラルなイメージもつきました。しかし、実際には靴の選択と政治的イデオロギーの関係には相関がありませんでした。
他の研究結果でも、リベラル寄りであることは魅力をアップさせる要因になることがわかっているので、こうした誤解がさらに好印象を作り出している可能性はありますね。
外向的で誠実な人が履く靴の特徴
次に、カラフルで明るい靴を履く人には外向的な人というイメージがありました。
さらに、靴がすり減っていてよく履きなれた見た目をしていたり、靴上部が高いデザインの靴も外向性が高いと評価されました。
もうひとつ、状態の良い魅力的な靴は誠実性と結びつけられました。
つまり、よく手入れの行き届いたきれいな靴を履いている人は誠実な人だとみなされるのです。実際にこれもほかの実験結果でもよく言及されていることです。
好感度が下がる非モテ靴の特徴
一方で、この研究では、つま先がとがっている、価格の高い靴、有名ブランドの靴では逆に持ち主の好感度が下がってしまいました。
よく言われるように、先のとがった靴は嫌われやすいのですね。これは多くの人も納得する結果でしょう。
しかし、高級な靴や有名ブランドの靴が好感度を下げてしまうのは驚きです。むしろ意識して良い靴を履こうとしている人はたくさんいるのではないでしょうか?
実際にほかの研究では、ブランド品で高印象になる!というものもありますからね。ただしこちらでアイテムが異なりますので、アイテムによって影響力が変わるのかもしれません。
また、かかとの高い靴やアンクルブーツの人では、積極的ではありますが攻撃的だったり、不安感が強い傾向が見られました。
靴に気を遣う人たちの性格的特徴
また、心配性の人(愛着不安の高い人)は、新品の靴や手入れのよく行き届いた靴を履く傾向がありました。
心配性の人にこのような傾向がある理由は、なるべく相手に良い印象を与えて拒絶されることを避けようとしているからだと考えられています。
またほかにも、裕福な人はよりおしゃれな靴を履き、女性はより高価に見えるブランド物の靴を履く、という傾向も見つかりました。
というわけで、心配性な人のほかにも、裕福な人や女性も靴の見栄えには気を付けているのですね。
まさにその人の暮らしぶりが、見た目に現れるんですよ。(戒め)
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年2月7日
初対面の相手の印象を良くしたいときの靴選び
今回の研究結果を見ると、一概に「良い靴を履くことは悪いことだ」とは言えません。そこには単に嫌われたくない、という相手の気持ちへの配慮も見えるからです。
ですが、少なくとも初対面の人の印象を良くしたいときにはブランド物を避けて、なるべく実用性に富んだ靴を選ぶようにしましょう。
また、あまりに高級な靴や有名ブランドの靴に固執している場合には、対人不安が強すぎる可能性もありますので注意してください。
参考論文
Gillath, Omri & Bahns, Angela & Ge, Fiona & Crandall, Chris. (2012). Shoes as a source of first impressions. Journal of Research in Personality. 46. 423–430. 10.1016/j.jrp.2012.04.003.