内向性と内気さ、外向性と社交性
内向性と内気さが同じものではないように、外向性と社交性もまた同じものではありません。
人見知りであることと内向的であることは同じものであるとよく誤解されますが、これらはまったく別々の特性であり、それぞれに独立した個性です。
たしかに、内気さと内向性、社交性と外向性にはそれぞれに相関があり、片方の性質を持っている人はもう片方の性質を持ちやすい傾向があります。
しかし、すべての人がその2つのセット(内気な内向型、社交的な外向型)に属しているわけではないのです。
内気さ、シャイとは?
内気さ(あるいは人見知り度)とは、人付き合い・社交に関する不安の強さを表したもので、他者からの否定的な評価に対して恐怖を感じる度合いです。
人見知りの人は、人に嫌われたり馬鹿にされることを恐れるあまり、人付き合いをしない傾向があります。
内向性との違い
一方で、内向性とは、外的な刺激を感じる傾向であり、刺激に対して注目を集める度合いのことです。
内向的な人は、外的な刺激を強く感じすぎるあまり、一人の時間をつくらないと疲弊しきってしまい、元気が出なくなります。
内気さ(shyness)の反対は社交性(outgoing)で、内向性(introversion)の反対は外向性(extroversion)です。
これらは似ているように見えますが、どれも異なる概念です。
社交性と外向性の違いとは?
社交的な人は他人を恐れず、パーティーや初対面の人、友人と計画を立てるときなど、自分から近づいていく傾向があります。
外向的な人は一見すると社交的な人と似ていて、簡単に友達を作ることができます。
しかし、外向的な人の特徴は、内向的な人とは反対に、エネルギーを得るために外的刺激と他人と過ごす時間を必要とすることです。
このことは、内向的な人と外向的な人とでは、特定の脳領域の活性化レベルが異なるという神経科学的な研究結果からも証明されています。
内向的な人は不安になりやすい傾向がある。これは、内向的な人は観察力が鋭く、他者の感情に共感するのもうまいからだ。彼らはつねに脳内で複雑な情報を処理しているため、いろんな事態を想定することができる。そのため、ネガティブな事柄や可能性にもよく気付くのだ。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年4月2日
内気・社交、内向・外向の解説まとめ
4つの性格特性を要約すると、それぞれの概念は以下のように考えることができます。
内気さ VS 社交性
内気な人:他者からの否定的な評価を恐れて、人付き合いを回避する傾向がある。
社交的な人:他者と接することに恐怖を感じず、他者に接近する傾向がある。
内向性 VS 外向性
内向的な人:刺激過多になりやすく、刺激を遮断し情報をまとめる時間を必要とする。人と過ごした後は、一人でエネルギーを回復する必要がある。
外向型な人:刺激不足になりやすく、刺激を必要とする。人と過ごすことでエネルギーを回復する。逆に、一人で過ごす時間が長いと元気がなくなる。
つまり、内気で外向的な人もいれば、社交的で内向的な人もいるということです。
内気と内向性、社交性と外向性を混同しないようにしましょう。これらの違いをきちんと理解することで、自分や他人の性格を理解し、人間関係を改善することにも役立ちます。
参考論文
Heiser NA, Turner SM, Beidel DC. Shyness: relationship to social phobia and other psychiatric disorders. Behav Res Ther. 2003 Feb;41(2):209-21. doi: 10.1016/s0005-7967(02)00003-7. PMID: 12547381.
https://doi.org/10.1016/s0005-7967(02)00003-7
Afshan, Ambreen, et al. “Shyness, Self-Construal, Extraversion–Introversion, Neuroticism, and Psychoticism: A Cross-Cultural Comparison Among College Students.” SAGE Open, Apr. 2015, doi:10.1177/2158244015587559.