相手の服装から性格を見抜く
これまでの研究では、さまざまな服やアクセサリーを身に着けることによって、ほかの人から見たときの印象が変わることが示唆されてきました。
眼鏡をかけた人は知的に見えるですとか、派手な服装の人は明るい性格に見えるといった感じです。
ところで、そうしたイメージは本人の行動にも反映されるようになるのでしょうか?
別の言い方をすれば、その人がどのようなファッションを選択するかで、実際にどのような行動をするのかがわかるものなのでしょうか?
それとも、こうしたイメージは単なるステレオタイプや錯覚にしか過ぎないのでしょうか。
これがわかれば見知らぬ人の性格を大まかに当てることができたり、自分の性格を変えることに役立つかもしれません。
というわけで、この疑問について調べた2015年の心理学研究があるので今回はこの心理を解説していきます。
腕時計をつける人の性格とは?
ランカスター大学心理学部のデビッド・A・エリス、ヨーク大学心理学部のロブ・ジェンキンス博士らは、個人の性格特性とその人のファッションが実際に結びつくかどうかを調べるために、「腕時計を身に着けている人は誠実性が高いか」ということを検証するための実験を行いました。
誠実性とは、精力的で、勤勉で、信頼できることと定義される心理学的な性格特性のひとつです。誠実性は、人々から良い性格だとみなされる特徴の一つですね。
研究者たちはまず、腕時計の着用と性格特性との関連性を調べる簡単な予備調査を行いました。
112人の参加者を対象に、普段から腕時計を身につけているかどうかといった腕時計の着用に関する質問を加えたうえで、性格調査のアンケートに答えてもらいました。
すると予想通り、腕時計の着用は誠実性の高いレベルと有意に関連していました。また同様に、情緒の安定性も高いことがわかりました。
つまり、腕時計をつけている人は誠実なだけではなく、情緒も安定してして精神的にも健康であることが多いのですね。
スマホの有無も男女の違いも関係なし
もうひとつの実験では、オンライン調査に参加した638人を対象に、同じく性格テストと一緒に、腕時計の着用や仕事上の習慣について質問されました。
するとこの実験では、先ほどの実験よりもさらに興味深いデータが収集されました。
参加者の97.48%が携帯電話を所有していると答えましたが、これは腕時計の所有には違いが見つかりませんでした。
つまり、携帯電話を持っているからといって腕時計をしない人はいませんし、その逆もまた然りだったのです。
男女の違いについても調べられましたが、男性も女性も同じ割合で腕時計を身につけていました。
時間を気にする環境かどうかも関係なし
また、勤務時間が固定制とシフト制の労働者で比較しても、腕時計の着用に違いはありませんでした。
より時間管理が必要なシフト制だからと言って腕時計を着用する傾向があるとは言えませんでした。
これはつまり、環境はあまり関係なく、腕時計の着用は本人の性格によるところが大きいということです。
そして先の実験結果と同じく、腕時計の着用は誠実性の高さと有意に関連していました。
あなたの性格はどれ?ビッグファイブ性格特性グループ
アベレージ
神経症傾向と外向性が高い
開放性が低いリザーブ
神経症傾向と開放性が低い
協調性と誠実性がやや高いローモデル
神経症傾向がもっとも低い
その他がすべて高いセルフセンター
外向性がとても高い
誠実性、協調性、開放性が低い— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生@進化学と恋愛心理 (@kruchoro) 2021年11月2日
誠実な人は本当に腕時計をつける
興味深いことに、外向性と開放性については、腕時計をしている人の方がわずかに低い傾向があったのですが、その影響はあまり強くありませんでした。
これらの結果から、誠実な人は本当に腕時計を身につけている可能性が高いことがより強く確認されました。
誠実な人かどうか見抜きたいときには、相手が腕時計をしているかどうか見てみましょう。
参考論文
Ellis DA, Jenkins R. 2015. Watch-wearing as a marker of conscientiousness. PeerJ 3:e1210