やる気はどうしたら出るのか?
今回は意志力(やる気)の心理学についての話です。
意志力の話は心理学の中でも、恋愛等に始まる人間関係の心理学と並んで人気の高い分野かなと思います。意志力の心理学は私たちの日常の場面に置き換えやすいのも特徴であり、愛される理由でもありますね。
私たちの中にあるやる気だったり行動したいという気持ちは、精神論で語られてしまうことがまだまだ多いのが現状です。
もちろん、それが功を奏している場合もありますし、ある面においては理にかなっていたり正しかったりするのですが、精神論を説かれる側としてはおそらく納得しにくいことも多いですよね。気合で問題が解決するのなら誰も困りませんからね。
そこで現れたのが意志力の心理学です。そもそも私たちはどのようにしてやる気を作り出しているのか、やる気とはなんなのか、行動する人と行動しない人の違いとはなんなのかといったことを主要なテーマとして扱う心理学です。
今回はタイトルにあるとおり、やる気の生まれてくる過程について話していきたいと思います。
やる気は頭のおでこのあたりから出てくる
やる気というのは前頭前皮質という脳の部位が司っています。この部位のある場所がちょうど人間のおでこのあたりになります。
この前頭前皮質は人間以外の動物にはなく、我々の進化の過程で最も新しく誕生した脳の部位とされています。つまり、この部位があるからこそ人間は他の動物とちょっと違っているんですね。
そしてこの前頭前皮質が現代の生活で担っている役割として、スタンフォード大学の神経生理学者である ロバート サポルスキー教授は、私たちにやるべきことを仕向けることだと言っています。
やるべきことをやるための場所
具体的に説明しますと、朝起きて会社や学校に行きたくないと感じたとしても、その気持ちに抗って行動できているのはこの前頭前皮質がきちんと機能しているからということです。
これに関する例はいくらでも挙げられます。例えば、面倒臭いけれどジムに行って運動しようだとか、面倒臭いけれど恋人が訪ねてくるから部屋を掃除しようだとか、面倒臭いけれどきちんとお風呂に入って眠ろうだとか。
あるいはもっと大きく、夢を叶えるために勉強を始めたり実際にそのための行動を起こさせてくれるのもこの部位のおかげです。「明日やろうか」「いや、今日のうちにしよう」といった自分の中の悪魔と天使による葛藤がここで起こっているんですね。
つまり、この前頭前皮質を鍛えることができれば、私たちは、やらなければいけないことを先送りにしてしまうといった行動を減らすことができるんですね。
やりたくないことをやめることもできる
それだけじゃありません。やりたくないことをしないといった誘惑に耐える力もここから生まれます。やりたいことをやる力とやらないことを我慢する力を前頭前皮質が受け持ってくれているのです。
例えば、お腹が空いていてもダイエットしているから我慢しようという個人的なことから、魅力的な異性が目の前にいてもいきなり飛びついたりはしないだとか犯罪に関わるようなことまでたくさんあります。ギャンブルを我慢する力もそうですね。
つまり、夢を叶えるために勉強したいといった人だけではなく、禁煙したい、お酒を飲む量を控えたいといった人も前頭前皮質を鍛えることによって自分の目的を達成できるようになるのです。
そしてモチベーション
最後に望む力、つまりモチベーションを生み出してくれるのも前頭前皮質の役割です。「面倒臭いけどやってみるか」というふうに行動を促すだけでなく「うおー!やってやるぜええええ!」というようなやる気満々の状態にも私たちの気持ちを持って行ってくれるんですね。
仕事や勉強に限らず遊びや好きなことなど、やりたいと思ったことをやるためにはやる気を出してくれる前頭前野の力が必要不可欠なのです。
つまり、やるべきことをやり、やってはいけないことを我慢し、やりたいことを見つける力が意志力なのです。意志力がこういった人生にとって大切なことをコントロールしているので、意志力のある人たちは成功しやすいのです。
前頭前野はなりたい自分になるための機関
最後にまとめると、
といった絵に描いたような素敵な人物になるためにかかせない脳みその部位、それが前頭前野ということです。つまり立派な人間になりたいのであればこの前頭前野を鍛えれば良いわけですね。
意志力の鍛え方については次の機会に説明します。